仙台市若林区の診療所  やまと在宅診療所あゆみ仙台 【訪問診療・往診・予防接種】


 第406話 神秘の存在
投稿:院長

100歳を超える長寿の高齢者(センテナリアンと呼びます)が増えています。


センテナリアンは、幸福感が高く、自分の人生を肯定的にとらえる人が多く、社交的で誠実性な性格が、長寿を支えているとされています。


昨年100歳を迎えたUさんもそんな一人で、昔は知人が病気になれば看病に駆け付け、身体が不自由になったご主人を背負って浴室まで運んで入浴介助し、自宅には多くのお茶のみ友達が集まって話の花が咲いたそうです。


幸せ感が高く、それが周りの人と友好の輪を広げ、幸せがUさんの周囲に伝わっていく・・・Uさんがそこにいるだけで周りが自然と笑顔になってしまう・・・Uさんはそんな雰囲気を持った人です。


そんなUさんですが、心配ごとの一つに血糖値がありました。


Uさんは40年来の糖尿病があり、歩行が困難となり訪問診療が始まった96歳の頃は、随時血糖値が250r/dlを超え、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が7.6%台で高めに推移しており「私のヘモグロビン・エーワンシーはいくつですか?」とか「血糖値が高いのは運動が足りないからですか?」とか、Uさんからたびたび血糖値に関する質問を受けることがありました。


HbA1cや運動療法に言及した最高齢としてギネスに申請しようかと考えています(笑)。


Uさんの年齢を考慮して、特に食事制限や血糖降下薬などは一切使わなかったのですが、それから不思議なことに、食欲はとてもあるのに年々血糖値が改善し、2025年にはついにHbA1c5.7%となり、Uさんの糖尿病史上、血糖値の最良記録となりました。


ついでに腎機能を示すeGFRがなんと100ml/分を超えており、私が診察した中で、年齢より高いeGFRを記録した初めてのセンテナリアンでもあるのです!


センテナリアンは、病気に対する回復力や抵抗力を高める「保護因子」を遺伝的に多く持っている可能性が指摘されており、きっとUさんもこの遺伝子が活発に働いて長寿を支えているのでしょう。


Uさん、人間の神秘のシンボルとして、これからもますます長生きして新記録を連発してください!


2026年2月28日(土)

 第405話 悠水
投稿:院長

90代の女性Oさんは、自宅で一人暮らしです。


脊柱管狭窄症で足腰が不自由で歩く時は歩行器が欠かせません。


下半身は不自由なのですが、いつも朗らかで気品があり、Oさんの表情には何か優雅な雰囲気が漂っています。


ある日、脱衣所で誤って転んで自力で立ち上がれなくなってしまい、いつも肌身離さず持っている携帯電話を使ってヘルパー事業所に助けを求めたそうです。


ヘルパー事業所から職員が向かうまで1時間ほどかかると言われたOさんは、この時どんな行動に出たのでしょうか?


それは、待っている1時間を無駄なく過ごすため、浴室に貼って移動し、身体が冷えないようにゆっくりと時間を使って、洗髪と身体の洗浄を行ったそうです。


その後、ヘルパー事業所から助けが入った時には、全てが完了し、身体がピカピカの状態になっていました。まさに、Oさんらしい振る舞いです!


この話をOさんから聞いた時、私はOさんに対して、

「ヘルパー事業所が駆けつけるまでに時間がかかる場合は、診療所にも連絡してみてください。一番暇にしている職員(?)が駆けつけますから!」と声掛けしました。


そういえば、私は昔から「カラスの行水」でゆったりと入浴することがほとんどありません。


これからはカラスを卒業し、「Oさんの悠水」してみようかな?


2026年2月24日(火)

 第 404話 牛と火災警報器
投稿:院長

80代の男性Kさんは、脊柱管狭窄症、糖尿病の神経障害、抗がん剤の副作用などで、ここ数年、足の痛みに悩まされていました。


痛みのため、椅子に座ったまま身動きができず、毎日、椅子に座りながら夜を明かしていました。


室内で観葉植物の栽培が楽しみの一つでしたが、大好きな趣味からも遠ざかり、奥さんが観葉植物の手入れを引き継いでいました。


足浴、マッサージ、リハビリなど非薬物的な治療や、処方されている薬剤を調整したり、新たに漢方薬を導入してみたもののさっぱりと効果が上がらず、気持ちが沈み込んでネガティブな発言ばかりが目立っていました。


そこで、痛みにとらわれてしまっている状態を、少しでも改善するために抗うつ剤を少量から開始してみることにしました。


そして、そこから2週間ほど経った頃から痛みが和らぎ、自宅で「痛い」と口走ることがなくなり、表情が明るくなってきました。


それから気持ちも前向きになり、ベッド上で寝返りしたり、自力で座ることができるようになり、奥さんの介護負担も軽くなってきました。


そんなある日の夜、マンションで火災警報器の誤作動で警報音が鳴り響き、驚いた奥さんが、玄関に出て周囲の様子をうかがっていたところ、なんと本人が杖を使いながら奥さんの傍まで歩いてきて「どうしたの?大丈夫か?」と話しかけてきたそうです。


「あなた、歩いているじゃないの!」と奥さんが言ったのかどうかわかりませんが、奥さんは、火災警報器が鳴ったことよりも、Kさんが立って歩いていることを驚いたに違いありません。


後日、このエピソードを奥さんから聞いた時、私はアニメ「アルプスの少女ハイジ」の中で、ハイジの親友で足の不自由なクララが立ち上がった時のことを思い出しました。


クララは小屋の近くの木のそばで、クララのおばあさんに本を読んでいましたが、おばあさんは途中で居眠りしてしまいました。そんな時、クララの元に一頭の牛が近づき、おばあさんはクララの悲鳴で目を覚ましました。牛の恐ろしさのあまり、クララは座ったまま後ずさりし、そのまま木に寄りかかりながら立ち上がったではありませんか!おばあさんはこの時、「クララが立った!」と呟きました。


今では、クララがなぜ立てなかったのか、日光不足による「ビタミンD欠乏症くる病」とか精神疾患の「転換性障害」とか、原因としていろいろと考察・推測されているようですが、Kさんの場合、火災警報器が牛の役割を果たしたのは明らかなようです。


2026年2月11日(水)

 第403話 あゆみのシンボル
投稿:院長

当院は、今年5月で開院5周年を迎えます。


開院した2021年から診療している患者さんは、年々減少してきていますが、今もなお元気に過ごされている方もいます。


90代の女性Sさんもそのうちの一人です。


当院が初診した時、脱水症と感染症で、意識がなく、かなり危険な状態でしたが、点滴などの治療が奏功し、3週間目で点滴を終了することができました。


その後は、食事、入浴、リハビリが順調に進み、ベッド上で好きなテレビ番組(プレバトだそうです!)を観たり、新聞を読むことが日課になりました。


8か月後には、車椅子への移乘がスムーズにできるようになり、10か月後には、ついにデイサービスに通所することになりました!


そして、1年後にはついに歩行訓練が始まり、今もリハビリを頑張っています。


当院は、私を含めて職員4人体制で始まりましたが、その後は患者さんの増加とともに、医師を含む職員の数が増え、経過が順調なSさんの診療は、私以外の他の医師が行うようになりました。


そして、202511月に、約1年半ぶりにSさんの自宅で診察する機会があり、Sさんとの再会を喜ぶことができました。


そこには、以前とは見違えるくらいふっくらとして体重が増え、健康的なSさんの姿がありました。


しかし、前かがみになって真剣な表情で新聞を読む姿、ニコニコと診察に応じて下さる姿は、以前とは全く変わりがありませんでした。変わったことと言えば、体重の増加と掛け布団の下に孫の手がひっそりと置いてあったこと(笑)。


そして、今年の採血では、栄養状態の指標の一つであるコレステロール値が過去最高となり、ついに高コレステロール血症になりました!(一般的に、高コレステロールは“悪玉”と考えられていますが、栄養状態が悪化したり、慢性炎症があるとコレステロール値が低値に傾くので、後期高齢者でコレステロール値が高くなることはむしろ望ましいことと考えています)


Sさんの診察を通して言えることは、人はいくつになっても成長できること。


そして、たとえ辛いことやしんどいことがあっても、Sさんのように、できなかったことができるようになるかもしれない、穏やかな日々を送ることができるかもしれない、ということです。


そんなSさんの成長は、当院がまだ“よちよち歩き”だった頃からの成長とも重なっており、Sさんを診療することは、当院の歩みを確認することでもあるのです。


Sさん、これからも私たちと一緒に成長していきましょう!


そして、いつか、ダブルで“成人式”(Sさん:20歳×5倍、当院:20歳×0.5倍)を迎えましょう!


2026年1月31日(土)

 第402話 共感療法
投稿:院長

今まで困難に直面し苦労した時、人は同じ苦労をしている人を見てどのように感じるでしょうか?


「自分と同じ苦労を味わってほしくない」と感じて献身的にサポートする人もいれば、「自分と同じ苦労を味わうのは当然だ」と感じて内心ほくそ笑むような意地の悪い人もいるでしょう。


一方で、「自分と同じ境遇の人がいるのだから自分も頑張らなければ」と思って前向きになれるのならとても健全なことです。


「類は友を呼ぶ」というように、人は自分と共通点を持つ人に親近感を覚えます。

このように、自分と共通点を持つ人に親近感を感じたりする心理作用を、心理学では「類似性の法則」といいますが、訪問診療ではこのような心理を引き出すことも大切なのです。


悩みが深い人には「私が診察している患者さんでも同じ悩みの人が大勢いるのですが、皆さん、親からもらった命を大切にしながら一生懸命に生きています」とか「私も同じような経験があるのですが、本当に辛いですよね」とか、「あのお釈迦さまも生きることは苦と感じていて、生(しょう)・老・病・死の四苦(しく)を示され、この苦痛を和らげるためにひたすら修行に励まれたのです」とか、いくつか例をお話しし、苦悩を完全に解決してあげることはできなくても、共感する気持ちを引き出すことで、少しは苦悩を和らげられるのではないかと感じています。


90代のIさんは、転倒したことをきっかけに膝の痛みに悩まされていました。しかし、定期的に鎮痛薬を飲むことは望まれず、湿布薬で経過観察していました。


ある日のIさんの診察で膝の痛みについて話題が出た時、同行していた当院のベテラン看護師が、「私も膝に湿布を貼っています!」とズボンの裾をまくり上げて自分の膝を公開しました。そこには、湿布が少し腫れた膝に隙間なく貼りめぐらされていました。


「おお〜!」と周囲から感嘆の声。


それをきっかけにその場の雰囲気が和み、この日以来、Iさんの膝の痛みは少しずつ和らいでいきました。


どんな言葉よりも抜群の説得力がある究極の共感療法として、これからは、膝の痛みに悩まされている患者さんには、この看護師を必ず同行させることにしたいと思っています。


診療同行する時には、湿布を貼り忘れないでくださいね〜!


2026年1月22日(木)

 第401話 新年の抱負
投稿:院長

明けましておめでとうございます。


昔は、その年の抱負・希望を抱きながら新年を迎えたものですが、最近はすっかりと保守的で新しいことにチャレンジすることも少なくなり、なんとなく月日が流れてきたような気がします。


そんな中、院長として診療所の中で心がけてきたこととして、「職員が躊躇しないように診療所では何事も率先して行う」ということです。


その中でも、私が特に意識的に率先してきたことをいくつか挙げて、さらにこの場を借りて、新年の抱負を記したいと思います。


〇率先して職場でしゃべる

職場の中では。私語が禁止ということがありますが、職員同士の円滑なコミュニケーションには雑談を含む会話が欠かせません。診療所の中や往診車の中では、私のオヤジギャグが果たして職員に通じるのか確かめるために?仕事に差し支えないようにしながら率先して雑談するようにしています。その結果、今では私よりもおしゃべりで笑い上戸な職員がたくさん出現するようになり、数あるやまと在宅診療所の中では、当院が最も活気ある診療所(騒がしい診療所?)になったのではないかと自負しています。


〇率先して飲食を行う

私が大食いで食いしん坊ということではありません(笑)。患者さんのご自宅で出された軽食、果物、お茶などは、それが患者さんやご家族とのコミュニケーションを円滑にすると判断できる場合は、遠慮しないで率先して美味しくいただくようにしています。


〇率先して帰宅する

院長がだらだらと職場に残っていると職員が帰りづらくなるので、自分の仕事が終わったらさっさと帰宅しています。高市首相は就任時に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります!」と宣言しましたが、私は「働いて休んで働いて休んで働いて休んでまいります!」と高らかに宣言して、率先してライフワークバランスを大切にしていきたいと思います。


〇率先して遊び心を持つ

毎年、プラモデルの新作が完成すると職場に持ち込んで、内蔵したLEDを光らせて職員に楽しんでもらうようにしています。昨年末のクリスマスは、診療所でタイタニック、デロリアン、デコトラの模型を光らせたり、リモートコントローラで動かしたりしました。仙台では毎年、年末になると定禅寺通りで光のページェントが観られますが、当院の職員は光のページェントに行く必要がない?ことになっています。今年は、さらに進化させて、マイコンを使ってLEDやモーターを自在に制御できる電子工作をすることが目標です。


〇今年の抱負

私も還暦が近くなり、健康の維持がとても大切になってきています。昨年から地域の医療介護者向けにストレスの対処方法について講演してきましたが、今年も健康の維持や心身にとって有益なことをどんどん率先して実践し、発信していきたいと思います。

まずは、2月に地域の医療介護者向けのOMC(オープンメディカル・コミュニティ)勉強会が開催される予定で、ただいまその準備をしているところです。今回は栄養と睡眠の深い関係についてです!


今年もどうぞよろしくお願い致します。


2026年1月12日(月)

 第400話 節目
投稿:院長

今年もあとわずかになり、今年最後のブログは、とうとう節目の400話になりました。


年末年始は、私たち日本人にとっても大切な節目の時期です。


普段は離れて暮らす家族との団欒、友人との再会、自己啓発、初詣や初売りなど、日常の生活とは違った日々を楽しみにしている方も少なくありません。


私が訪問診療で心がけていることは、この節目の時期に患者さんが心穏やかに安定した状態で過ごしてほしいということです。


そこで、この時期は、病状が安定していない方や方針が定まっていない方に対する時間が増えることになります。


まず、一般的に紹介状と呼ばれる診療情報提供書の記載が普段よりも増えます。

例年に比べて今年は特に多く、体調不良で新たな問題が発見された患者さんの病院への紹介状、新たに老人施設に入所することが決まった患者さんの紹介状、他の専門病院に通院している患者さんの病状や治療経過を記した報告書、歯科治療を受ける患者さんの病状報告書など、毎日のように記載していました。


特に、後方病院に紹介する場合、年末の病院の診療予定を考慮しながら、ギリギリのタイミングで駆け込みのような形で紹介することになり、紹介を快く受け入れて下さった病院連携室の方々、関係する医師や看護師の方々にはこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました!


次に、病状が安定していない患者さん、病状が悪化した患者さんへの予定外の往診です。


特に今年はインフルエンザなど感染症で体調を崩す患者さんが多く、点滴で治療するのか内服薬で治療するのか、どの種類の薬剤を使用するのか、解熱剤はどうするのか、発熱以外の症状はどう対応するのか、患者さんごとにアセスメントして指示することになります。


今年は、1226日金曜日、1229日月曜日ともに、このような予定外の往診が10件ずつと過去最高になり、職員は患者さんがこの大切な時期に安心して過ごしてほしいという願いを込めて時間外まで診療調整したり、診療を手伝ったり、大活躍してくれました。職員の皆さん、どうもありがとう!


しかし、患者さんの中には、残念ながら年越しを前にしてお亡くなりになった方もいます。


しかし、患者さんそれぞれが時には辛いこと、悲しいこと、不安なことと向き合いながら、亡くなるその瞬間までその人らしく精一杯人生を歩んでこられたと思います。短い時間ではありましたが、伴走させていただきながら同じ空間、同じ時間を共有できたことは、私たちにとってこの上のない財産になっています。どうもありがとうございました!


ということで、今年の12月はとても慌ただしく、散らかってしまった診療所の「自分の机の上を今日こそ整理するぞ!」と宣言していたにもかかわらず、いまだに手つかずで、自分の机はとうとう節目を迎えられないまま年越しとなりそうです。


年明けは、自分の机の上の整理計画がどうか「机上の空論」になりませんように!

と祈りを捧げながら今年最後のブログを終了したいと思います。


皆さん、今年1年、どうもありがとうございました。どうぞ良い年をお迎えください!


2025年12月30日(火)

 第399話 雪かき
投稿:院長

仙台では、1214日の日曜日に数センチの積雪があり、早朝、自宅の玄関のドアを開けてみると、庭の芝生がすっかり雪化粧していました。


しかし、雪質が湿ってアスファルトやコンクリート上では、シャーベット状になっており、通行人がとても歩きづらそうです。


これを見て、雪国で生まれ育った血が騒ぎだし、収納してあったスコップを持ち出して、雪かきを始めることにしました。


まずは、玄関の前や駐車場の雪を片付けた後、自宅の前を歩く人達が歩きやすいように歩行路の除雪に移ります。


私が育った新潟の田舎では、雪の積もった朝、自宅の前の道路に積もった雪を隣家まで道踏みしたり除雪したりをするという暗黙の決まり事があり、自宅から隣の家へと続く地域内の道路ネットワークは、こうした住民の共同作業によって維持されていましたが、仙台ではそのような決まり事はありません。


満足度は、結果を期待で割った分数(満足度=結果/期待)で表すと理解しやすいとされています。


つまり、納得する結果を出して分子を大きくするか、事前の期待が少なくて分母が小さくなる方が、満足度が高くなるということです。


これを雪かきに当てはめると、同じ雪かきをしても、雪国では除雪が当たり前になっているのでその有難みが小さく、一方、仙台では雪国と違い、雪が降っても除雪が完了して歩行路が確保されているという期待がもともと少ないので、除雪をすれば通行人の満足度が大きくなるということになります。


スコップを持って道路に出た私は、まず、道端に幅50pほどの歩行帯ができるように除雪していきます。自宅前の除雪が終わると、お年寄りが独居で暮らしている臨家に歩行帯を伸ばし、次に、除雪が済んでいない自宅から200mほど離れたマンション前まで、さらに歩行帯を伸ばしました。


そろそろ除雪を終了しようかと自宅に引き上げようとすると、道路の反対側で立ち往生している3歳ほどの幼児を連れた母子の姿が目に入り、今度は道路の反対側に移り、100mほど歩行帯を作ってこの母子を誘導しました。


「ありがと」


幼児からもらった、かわいらしい感謝の言葉に私は思わずニンマリ。


その後は、自分が作った歩行帯を歩いている通行人の姿を眺めながら、「この人たちはきっと自分の雪かきに満足しているに違いない」と自己満足に浸りながら、休日を気分よく過ごすことができました。


ところが、すぐに雪解けが進み、翌日には私の作った歩行帯は跡形もなく消えてなくなってしまっていました。


冬道や自己満足が夢の跡


ということで、これからも私が雪かきで自己満足するために、仙台では雪が降っても「雪かきが当たり前にならない」ように祈っているところです。


2025年12月23日(火)

 第398話 長寿の源泉
投稿:院長

当院では105歳を超える超高齢者を2名診療しています。


先日、このうちの一人であるIさんの診察にうかがいました。


Iさんは、今も歩行はもちろん、身の回りのことが自立しているスーパーセンテナリアンです(数年前までは確定申告の計算もされていたとか)!


元気な超高齢者で共通していることは、ちょっとした体調不良があっても必ず回復することです。


Iさんは、11月に発熱や血便などがあり、自宅で点滴を受けて静養していましたが、数日後には何事もなかったように見事に復活されました。


Iさん家では茶道教室を開いており、Iさんも以前は茶の湯・裏千家の指導をされていたそうで、現在はお嫁さんが引き継いでいます。

というわけで、Iさん家を訪問するとお茶が出てくる確率が高く、診療アシスタントから事前に作法を教えてもらいました。


「お茶を飲む前にお菓子をまず食べて、両手で茶碗を持って時計回りに2回転して茶碗の正面を自分に向けて飲むといいようです」


診察が終わるころ、期待通り?お嫁さんがお茶を立てて下さいました。


アシスタントの言う通りに、まずお菓子を食べてからお茶をいただこうとすると、さっそくIさんとお嫁さんから指導が入りました。


「左手でお茶碗を下から支えて、右手を右側に添えてください」

「お茶碗は、時計回りに180度回転させるように23回で回してください」

「回し終わった後、茶碗の図柄がある方を自分とは正反対の正面に向けるようにしてください」


あららら・・・アシスタントの事前の説明とずいぶんと違うな〜・・・・(汗)。


といった調子でハプニングがありましたが、無事にIさんの茶道教室・・・ではなく、診察を終了してきました。


茶の湯の作法を指導してもらうのはこれが初めての体験でしたが、Iさんの「長寿の源泉」が身体に染みわたって、なんだか自分の寿命が延びた感じがしました。


というわけで、次回のIさんの訪問では、診療アシスタントの「裏目千家」ではなく、本物の裏千家の作法をしっかりと学習してから茶の湯に臨みたいと思います(笑)。


2025年12月11日(木)

 第397話 オープンカー
投稿:院長

訪問診療では、ご主人の介護にとても献身的な奥さんが少なくありません。


夫が病状の悪化で入院したり、種々の理由で老人施設に入所した時、家族と離れて過ごすことになって寂しい気持ちを解きほぐしてくれるのは、家族の面会です。


離れ離れになった時、住み慣れた自宅では当たり前のような存在が、実は自分にとって最も大切だったと気付かされるのは、夫だけではありません。


今はお亡くなりになったKさんが入院した時、奥さんは自宅から片道10q以上離れた病院まで、大切な人と会うために、雨の日も風の日も雪が舞う日も毎日毎日通い続けたそうです。


Kさんが自宅に退院した日、初めてKさんの自宅を訪問しました。


Kさんは、ほとんど話すことができない状態でしたが、奥さんはKさんの帰宅がとても嬉しそうです。


奥さんと話をしていると、毎日病院に通い続けたことが話題となりました。しかし、奥さんは車の免許を持っていないので、きっとバスを乗り継いでいたのだろうと思って聞いてみると、奥さんから、屈託のない笑顔で「オープンカーです!」と答えが返ってきました。


えっ、オープンカー?


それは・・・実は自転車のことだったのです!


奥さんが小麦色に日焼けしているのは、毎日毎日夫に面会するために自転車で病院に通い続けたからだったのですね〜。


初めての診療が終わり、Kさんの自宅を後にする時、玄関のドアの前に止めてあった「オープンカー」が目に入りました。


少しさび付いて、けして新しくはないこの自転車が、Kさん夫妻の絆を結び付けていたのかと思うと、とても感慨深くなりました。


話は変わりますが、今、私は、地球温暖化に対して個人でできることとして、仙台市内の移動はできるだけ自家用車を使わないようにしています。


通勤は、もちろんKさんの奥さんを見習って、子供が中学校時代に使って乗り古した「オープンカー」。


Kさんの奥さんの十分の一の距離を、このオープンカーで季節の移り変わりを感じながら走っています。親子の絆を確かめるように。


2025年11月29日(土)

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