仙台市若林区の診療所  やまと在宅診療所あゆみ仙台 【訪問診療・往診・予防接種】


 第236話 喜びの表現
投稿:院長

連日オリンピックで、選手の見せる様々な表情に注目しています。

 

喜びを表す言い回しに、「跳び上がるほど嬉しい」や「涙が出るほど嬉しい」がありますが、この違いは何でしょう?

 

ある論説文には、前者は、ある期待があって、その期待が叶えられたときや期待以上の結果が出た時に表現され、後者は、感謝の気持ちを伴って、心配が払拭された時に表現される喜びというような記載がされていました。

 

例えば、選手がメダルを獲得した時、喜びの背景に、今までの努力や支えてくれた方々への感謝の念が含まれているほど、後者のような喜び方をするのかと思います。

 

よく考えると、人は歳をとるにつれて、前者から後者のような喜び方が増えてくる気がします。

 

何か良いことがあった時、小学生は跳び上がるくらいに嬉しいという表現が似合いますが、歳を取るにつれて、喜びの背景にいろいろなものが詰まっているのだと思います。

 

しかし、背景が何であれ、お年寄りが満面の笑みを浮かべて指でOKポーズを作ったり、選手が勝利した瞬間に跳び上がって喜ぶ姿を見ていると、元気をもらうことができます。それは、涙にはないとてもハッピーな感情です。

 

ちなみに、私がオリンピックで一番印象に残っているのは、重量挙げの三宅宏実選手が、リオデジャネイロオリンピックで銅メダルを獲得した瞬間、バーベルを愛おしそうにハグした場面です。三宅選手の人柄がこの行動にとてもよく表れていて、三宅選手のファンになってしまいました(三宅選手は東京オリンピックを最後に競技から引退するそうです。大変お疲れさまでした)。

 

様々な場面を通して、その人なりに全身を使って喜びを表現できるなんてとても素晴らしいことだと改めて感じています。

 

コロナが収束して、お互いをハグをして喜びを分かち合える日が来ますように・・・。 



2021年8月5日(木)

 第235話 スポーツの力
投稿:院長

東京オリンピックが開幕しました。

 

コロナ禍での開催、大会関係者の過去の不祥事など、ネガティブなこともたくさんありましたが、開催された以上、私達にできることは、静かに選手を応援することです。

 

注目の集まる競技では、診療先でも、夢中になってテレビ中継を見ている患者さんも多く、「力をもらっています」と選手の活躍に勇気づけられている患者さんも少なくありません。

 

訪問診療では、ソフトボールや野球などは診療時間と重なることが多く、テレビ中継に夢中になっている方がいれば、邪魔にならないようにそっと診察を行います。


スポーツは、競技する人も応援する人も、国、人種、思想、信条を超えて喜びを分かち合い、感動を共有し、人と人との絆を深めることができる不思議な力を持っています。

 

人が人たる所以・・・つまり人間らしさとは、「困難なことがあっても目標に向かって努力できること」、「自分や仲間を信じて勇気を持って挑戦できること」、「言葉や全身を使って感情を表現できること」、「時に理性で感情をコントロールできること」、「失敗から学びそれを糧にできること」、「喜びや感動を周囲と分かち合うことができること」、「他人のために祈り応援できること」ですが、スポーツは、この人間らしさを最大限に引き出してくれる力を持っているのです。

 

そして、オリンピックほど、この「スポーツの力」を引き出し、感じさせてくれるものはありません。

 

コロナの感染拡大に歯止めがかかることを祈りながら、この大会に向けてたゆまぬ努力してきた選手のために、心を砕いて準備してきた多くの大会関係者のために、選手の活躍に勇気づけられている多くの患者さんのために、この東京大会が最後まで無事に開催されることを願っています。

 

訪問診療では、選手を応援すると同時に、選手を応援する患者さんと、そっと静かにこの「人間らしさ」を分かち合いながら、私達の役割を果たしていきたいと思います。


2021年7月29日(木)

 第234話 勝負服
投稿:院長

病院では、「患者はベッド上でパジャマ姿で医師の診察を受ける」というイメージが強いためか、訪問診療でもそのように準備して診察を待って下さる患者さんが多いです。

 

ある女性患者Bさんは、急な体調の悪化で歩行が困難となり、訪問診療を始めました。

 

診察の結果、多発関節炎と診断し、鎮痛剤による治療を開始して様子を見ることにしました。

 

当初は、意欲がなく無口だったBさんですが、徐々に元気になり、本来の明るいBさんに戻ってきました。

 

ある日、Bさんの自宅に診察に伺ったところ、ご家族が、「今日は、何を着て診察を受けようかソワソワしながら、いくつか服を着てみたのですが、結局いつものパジャマ姿に戻ってしまいました」と打ち明けてくれました。

 

そこには、黄色のパジャマ姿のBさんがベッドに座って診察を待って下さっていました。

 

以前は、ご家族と買い物が好きだったというBさんですが、私は「診察は、パジャマ姿でなくて普段着で良いですよ。コロナが収まったらまたご家族と買い物に出かけましょう。次の診察では、いつも買い物に行く時の姿を見てみたいです」と要望しました。

 

そして先日、Bさんのご自宅を訪問したところ、そこには半袖のブラウスにスラックス姿のBさんがありました。

 

この日の診察は、希望に満ちた明るい話題で大いに盛り上がったことは言うまでもありません。

 

診察は、どんな服を着て受けようか?

買い物には、どんな服を着て行こうか?

旅行には、どんな服を着て行こうか?

好きな人と、どんな服を着て会おうか?(忘れ去られようとしていた遠い昔の思い出・・・)

 

女性が心をときめかせて自分の服を選ぶことの大切さを教えてくれたBさんを、恩に着ている私です。 


2021年7月21日(水)

 第233話 クリニックの顔
投稿:院長

クリニックにはひっきりなしに電話が掛かってきます。

 

患者さんの紹介、往診の希望、薬局の問い合わせ、患者さんの状態報告、病状への対応方法の確認、行政とのやり取り、業務提携など、新しいクリニックには、掛かってくるすべての電話がとてもありがたく感じます。


今、クリニックの電話を通してやり取りする情報交換の多くはマネージャーを経由しているのではないかと思います。

 

マネージャーは、掛かってきた電話の聞き取りから説明、私への取り次ぎなど、ありとあらゆる電話対応を丁寧にこなしてくれています。

 

とても人当たりがよく社交的で、院長の私の理念をよく理解し、右腕になって支えてくれる頼もしい存在なのです。

 

おかげで、院長の私が直接電話に出ても、「マネージャーはいますか?」と言われることが多くなりました(笑)。

 

今や、右腕どころか、あゆみホームクリニック仙台の「顔」としてこれからも大いに活躍してくれることでしょう。

 

しかし、彼の欠点は、仕事が大好き過ぎる(?)こと。

 

仕事にのめり込みすぎて、奥さんから「うちの主人はいますか?」と電話が掛かってきたりしないように、家庭のマネジメントでも活躍を期待しています。


2021年7月15日(木)

 第232話 心の虹
投稿:院長

先日、初めての診察を行うためにAさんのご自宅に向かっていた時のことです。

 

その途中、電話で別な患者さんが、急に状態が悪化したとの通報を受けたのです。

 

ちょうどAさん宅にたどり着いたので、玄関先でご家族に事情を説明し後ほど診察に伺いますとお伝えしたところ、ご家族から「私達は後でよいのでどうぞ行ってあげてください」と一言。

 

私達は、この温かい言葉に励まされて急変した患者さんの往診に向かうことができました。

 

また、梅雨のこの時期、悪天候の中、患者さんの診察に伺うと「雨の中ご苦労さまです」「先生方もどうぞご自愛ください」との言葉をいただくことがしばしばです。

 

あゆみホームクリニック仙台のロゴには虹が描かれていますが、虹は雨上がりの空に見られる美しい光景で、訪問診療とは、たとえ困難があったとしても、様々な方に支えられながら心の虹を一緒に創り上げていく作業なのではないかと思うのです。

 

只今放送中のMHK朝ドラ「おかえりモネ」の主題歌「なないろ」にはこんな歌詞があります。

 

手探りで今日を歩く今日の僕が 

あの日見た虹を探す僕を疑ってしまう時は教えるよ 

あの時の心の色♪♪

 

医療では、予想外の出来事が起きたり、思い通りにいかないことがしばしばなのですが、そんな時こそ患者さんやご家族から教えられるのです。この仕事の素晴らしさ、やりがい、医療者を志した時の心の色を。


2021年7月9日(金)

 第231話 名は体を表す
投稿:院長

老人施設には様々な名前が付けられていますが、入所するお年寄りが穏やかに過ごしてもらえるよう開設者の願いがそこに込められていることが多いと思います。

 

やすらぎ、ゆとり、くつろぎ、ほほえみ、ふれあい、ほのか、いこい、のどか、しずか、ぬくもり、なごみ、いやし・・・。

 

そのような名前がついた施設では、入所者だけでなく、温厚で穏やかな職員が多く、とてもアットホームです。

 

その一方で、認知症特有の介護抵抗、暴言、徘徊を示した高齢者に対して、何かにつけて薬物的な対応を求めてくる施設もあるのですが、本来、敬われるべき高齢者の精神や人格までを真っ先に薬でコントロールしようとすることに賛成できません。

 

そのような施設では職員に余裕がなく、入所者に対する言葉使いや態度が冷ややかでちょっと殺伐とした雰囲気です。

 

施設全体の雰囲気は入所者だけで決まるものではなく、経営者や職員の雰囲気が入所者に伝わり、施設全体の雰囲気に大きく影響を及ぼすのです。

 

物忘れが進んで、体験した一つ一つの出来事は忘れても、人としての感情(嬉しかったこと、悲しかったこと)は心に刻まれており、嬉しかった時は安心し、嫌な思いをすれば不安になり行動に表れることが多いのです。

 

それは、認知症であろうがなかろうが、少しも変わりありません。

 

今、介護職員の労働環境が問題になることが多いのですが、だからこそ、介護の原点を見つめ直し、職員も高齢者も気持ちよく過ごしたいものです。

 

「名は体を表す」と言いますが、老人施設で付けられている穏やか言葉は、本来、人が持つべき心のありようを示しています。

 

自分も歳をとったら、やすらぎ、ゆとり、くつろぎ、ほほえみ、ふれあい、ほのか、いこい、のどか、しずか、ぬくもり、なごみ、いやし・・・こんな環境で平穏に過ごしてみたいなぁ・・・。 


2021年7月3日(土)

 第230話 資格とは?
投稿:院長

昨年の「エール」に引き続き、NHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)「おかえりモネ」を楽しんでいます。

 

主人公の永浦百音(通称モネ)は、高校卒業とともに気仙沼の実家を離れ、登米で地元の名物おばさんの自宅に下宿しながら山林の仕事に携わるようになりますが、モネが大自然に囲まれる生活の中で天気の魅力に目覚めて気象予報士の試験に挑戦・合格し、その資格を生かしながら人として成長していく姿が描かれています。

 

番組では、町の診療所に勤務する若手の菅波医師が、節目節目でモネの重要なアドバイザーの役割を果たしており、そのやり取りがとても面白いです。

 

先日の番組で、資格について取り上げられました。

 

モネが「資格とは何か?」と菅波医師に問いかけたところ、菅波医師は「資格を必要とする仕事の多くは他人の財産や生命に直接関わる」「何かミスをすれば目の前の人の命を奪ってしまうかもしれない、それぐらい重い資格が自分にはあるのか、それを問うものだと思う」と答えます。

 

この菅波医師の答えに対してモネは「人の財産や命ときちんと向き合えるものを身につけたい」「誰かが悲しい思いをしないように、守ってあげている、そういう力を私も身に着けたい」と打ち明け、気象予報士の資格試験に挑戦することになりました。

 

この場面をみて、医療や介護の資格について深く考えさせられました。

 

医療や介護で扱う生命とは単に人の生死というだけでなく、人の健康、生きがい、尊厳に関係しています。

医療や介護で扱う財産とは単に人の有形の所有物というだけでなく、人の功績、経験、価値観に関係しています。

 

人の命や財産を守る資格はとても重く、単に取得することが目的であってはいけない。資格というのは、モネの言うように、人の命や財産ときちんと向き合っていくための知識や技術であり、強い使命感が求められていることを再認識し身が引き締まる思いでした。

 

話が変わりますが・・・菅波医師は、モネに対して常にぶっきらぼうな口の利き方をしますが、「きっとその態度の裏にはモネに対して好意を抱いているに違いない」「きっと二人は恋に落ちていくに違いない」と勝手に想像しています。

 

私に「恋の気象予報士」としての“資格”があるのかどうか、これからの番組の展開を楽しみにしています。


2021年6月26日(土)

 第229話 老年的超越
投稿:院長

新潟に住む高齢の母と、週に1回以上は電話で話をする機会がありますが、昔に比べて変わったことがあります。

 

それは、母から感謝の言葉を聞くことが多くなったということです。

 

母は、父が亡くなってから実家で一人暮らしをしていますが、近所、親戚、友人、老人会など数多くの人との交流があり、ちっとも寂しそうでありません。

 

電話では、いつどのような人と会って、どこで何をしてもらったのか事細かく話をしてくれますが、必ず周囲への感謝や私への感謝の言葉で締めくくられます。

 

年令を重ねると、徐々に衰えゆく自分の身体と向き合わなくてはなりませんが、老いをありのまま受け入れ、自然体で生活している人ほど幸せそうです。

 

高齢者が自己中心的で合理的な考え方から解放され、自然とのつながりを感じ、老いを受け入れるように価値観が変化していくことを「老年的超越」と呼び、高齢者の幸福感につながることが指摘されています。

 

一人でいることもポジティブに考えられる」、「人のありがたさを実感し感謝している」、「自分の人生は意義があったと考えている」、「見栄を張らない」「無理をしない」などの傾向がある人ほど、この幸福感を保てるそうで、今の母にすべて当てはまるのです。

 

健康や美容などでアンチ・エイジング(=抗加齢、アンチとはantipathy反感・嫌悪の頭文字)が流行っていますが、歳をとったら、ありのままの自分を受け入れるシンパ・エイジング(シンパとはsympathy共感・同調の頭文字)の方が幸せな気分で過ごせるということです。

 

よく考えてみると、高齢者医療の究極の目標もそこにあると言って良いのかもしれません。

 

50歳を過ぎて、小じわ、シミ、薄毛、白髪が目立つようになりがっかりしていましたが、まずは自分自身で「ありのままの自分」を受け入れてみようかな・・・(笑)。 


2021年6月21日(月)

 第228話 安心を届ける
投稿:院長

6月12日に、当院で2回めとなるコロナワクチンの予防接種を行いました。

 

当日は、居宅患者さんを中心に13ヶ所を回って計18名の方に接種を行いました。

 

このところ体調に変化があって、予防接種を行うかどうか注意が必要だった患者さんは見事に体調が回復しており、予定通り接種を行いました。

 

接種を行った後は、アドレナリン注射液を手元において、アナフィラキシーという重篤なアレルギー症状に注意しながら、15分以上その場で見守るのですが、すべての場所で、予防接種を無事に受けることができたという喜びに包まれて和気あいあいとした雰囲気でした。

 

このときに感じたのは、コロナワクチンに関する様々な情報が流れる中、身体が不自由で接種会場に行くことができない方々が、どんなに不安な思いで過ごされていたかということです。

 

そして、このワクチンは単なるワクチンではない、安心を届けるワクチンなのだと。

 

皆さんの姿を見て、その役割を果たすことができて本当に良かったと感じました。

 

こうして、ワクチン接種が終盤に差しかかる頃、前日2回目の接種を受けた私の身体に副反応が出始め、すべての予定が終了してから帰宅し体を休めることにしました。

 

そして今日、体調が回復し元気に訪問診療に出かけた時のことです。

 

患者さんのご家族で、別な会場でやはり2回目の接種を受けた方が、「予防注射を受けた次の日は、だるくて眠くて何もする気が起きませんでした」とおっしゃるので、「私もそうでした!」と意気投合し、お互いをねぎらい合いました。

 

ということで、今日は、共感を届けることができました(*^^*)。

 

あゆみホームクリニック仙台では、コロナワクチンの予防接種に対して、他の医療機関と役割分担をしながら、私達にできる貢献をしていきたいと思います。


2021年6月15日(火)

 第227話 ジャガー来たる!
投稿:院長

先日、ある雑誌の企画で、女子プロレスラーでタレントのジャガー横田さんがクリニックに来院され対談を行いました。


この話を電話で聞いた時は半信半疑だったのですが、本当に来院されたので職員一同びっくり仰天でした。

 

ジャガーさんのご主人は医師で、「気弱な夫」として一緒にバラエティー番組に出演されていたことを覚えている方も多いかと思います。

 

ジャガー横田さんがインタビューアーに選ばれたのは、そんな理由からではないかと推測していますが、対談では、在宅医療の意義、在宅医療に対する意気込み、この地域に対する意気込みを熱く(?)語らせていただきました。

 

ジャガー横田さんといえば、少し強面の容貌と低音の声を想像しますが、実際のジャガーさんは、小柄で大人しく、とても礼儀正しい方でした。

 

それにしても、数ヶ月前に何もなかった空間でジャガー横田さんと対談するなんて不思議なものです。

 

対談が終了した後は、ジャガーさんを一目見ようと来院していた私の妻と「医者の夫を持つ妻の苦労」で意気投合し盛り上がっていました(-_-;)。


2021年6月11日(金)

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