第306話 共感力 |
投稿:院長 |
先日、患者さんの訪問診療でご自宅に到着した時、家の中から女性同士の賑やかな会話が聞こえてきました。 自宅に入ってみると、ちょうど訪問看護ステーションの看護師さんが、患者さんの娘さんと楽しげに話をしていました。 看護師さんが明るい声で「あっ、先生〜、今、ちょうど女子会をしているところでした!」 私「なんだかとても楽しそうですね〜!」 患者さんによって病状はまちまちで、介護する家族によっては悲観的な雰囲気になってしまうことも少なくありませんが、どんな場合であっても介護者が楽しいひと時を過ごすことはとても大切です。 男性の場合、会話が理屈っぽくなりがちで、要点だけ話をすれば、それ以上会話が続かないことも多いのですが、女性の場合、自分の気持ちを理解して共感してもらえる相手がいれば、何気ない話題であっても話が延々と続くことにいつも驚かされています。 また、患者さんの病状に変化があり、訪問看護より往診の依頼を受けても、当日のスケジュールや交通事情等で患者さんの自宅に到着するまでに時間が要することがあるのですが、その間も看護師さんがご家族の気持ちに共感しながら、ドクターの到着を長時間待っていてくれることがあり、いつも感心させられます。 話が変わりますが、私が研修医1年目の頃、訪問診療で初めて患者さんを受け持った時のことです。 患者さんのご家族から、若い医者が往診に来たということで大歓迎され、診察が終わったあとに昼食のカレーライスまでご馳走になったということがありました。私はもっぱら患者さんの娘さんの話を聞くだけだったのですが、医者としては半人前でも少しは共感力があったのかもしれません。 当時は病院の売店で買った食材ばかり食べていたのですが、久しぶりに家庭料理の味を堪能することができ、今となっては良い思い出になっています。 そして、この時の私の患者さん宅での滞在時間の記録は、今も破られていません(笑)。 |
2023年4月6日(木) |
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