第225話 偉大なる父 |
投稿:院長 |
先日、ある患者さんが3ヶ月の入院を経て退院し、初めて診察に伺った時のことです。
入院中に会えなかった息子さん、お孫さんと久しぶりに対面し、声をかけられた患者さんの目尻から一筋の涙が流れてきました。
患者さんの姿を拝見していると、とても大きな手をされていることに気づきました。
比べてみると、息子さん、そして成人になったお孫さん、そこにいる誰よりも大きな手でした。
父として、包み込むようなこの大きな手で長年家族を支えてきたのでしょう。
長い闘病を経て体は痩せてしまいましたが、偉大な父の面影をそこに感じることができました。
この光景を見て、私の父が亡くなる前日、病床に駆けつけて父の手を握った時のことを思い出しました。
握り返す力はありませんでしたが、子供の頃に感じた父のとても大きな手はまったく変わっていませんでした。
かつて、この手で私を抱きかかえ、手をつないでくれたあの大きな大きな父の手でした。
父の手の感触は、一生忘れることはありません。
帰宅後、中学生の長男と手の大きさを比べてみました。
手のひらを合わせてみると、成長した長男の手は私と同じ大きさになっていました。
あの小さかった手がこんなに大きくなったのか・・・。
手はすっかり「等大」の父となってしまいましたが、子供の成長を嬉しく思いました。
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2021年5月31日(月) |
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