第292話 至福の時 |
投稿:院長 |
先日、初めて患者さんの診察でご自宅を伺った時のことです。 診療中に患者さんの息子さんの話題になりました。 その息子さんは、仕事に出かけており不在だったのですが、その仕事というのはマッサージ師。 ご家族の話では、息子さんは帰宅後、毎晩23時まで患者さんの部屋で患者さんにマッサージを施しながら、患者さんと話し込むのが日課なのだそうです。 しかも、その話というのは、何気ない日常の出来事から政治情勢まで、様々な話題に及ぶのです。 患者さんは、とてもしっかりした方で、私に「とても優しい息子です。毎日話をするのが楽しみなんです」と嬉しそうな表情で話をしてくれました。 きっとその日の夜は、どんな医者がやってきたのか話題になったに違いありません。 テレビやインターネットが発達し、学校や職場から帰宅した後は、テレビでバラエティ番組を見たり、スマホばかりを見て過ごす人がとても多いと思います。 そんな中、今日の出来事や社会に起きた出来事を、家族同士で楽しく語り合ったり、時には意見や感想を出しあって議論したりすることは、私の理想とする家族の形なのです。 しかも、息子さんからマッサージを受けながら話をするなんて、大好きな母にマッサージをしながら話をするなんて、患者さんと息子さん双方にとって至福の時に違いありません。 自分の培ったスキルを、自分が信頼している人、自分が尊敬している人、自分が大切にしている人に還元できるなんて、とても素晴らしいことだと思います。 その日の夜、新潟の実家に電話をして、いつもより少しだけ母と長話をすることにしたのでした。 |
2022年11月8日(火) |
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