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 第276話 女房の存在
投稿:院長

家に帰ると、常に励ましてしてくれる妻の存在ほど心強いものはありません。

故野村克也さんが、生前に妻の野村沙知代さん(サッチー)のことをしみじみと語っていた言葉を思い出します。

「とにかくサッチーはポジティブで、『口癖はなんとかなるわよ』だった。ピンチの時も『何を落ち込んでいるのよ。何とかなるわよ』だった。実際、なんとかなっちゃうんだよ」

「いつも強気で迷うことなく前へ前へ進んでいく。その生命力の強さが頼もしかった。一度も離婚しようなどと思ったことはないし、その発想さえなかった。こっちは彼女のおかげで悪くない人生だったから、ありがとうと伝えておけばよかった」

サッチーが、一時、世間からバッシングを受けていた時期があり、どうして野村監督が彼女をかばい続けるのか、疑問を感じた方も多いでしょう。野村監督がサッチー騒動の影響で阪神の監督を辞任した時には私もそう思っていました。

しかし、サッチーに先立たれた時の野村監督が見せた表情や、私自身が訪問診療に携わるようになってから、サッチーの大きな存在や役割を理解できるようになりました。

最近、がんと闘いながらも、家族のために台所に立ち続け、心配して弱気になりがちなご主人に対して「しっかり仕事してきなさい!」とご主人を鼓舞し続けた女性をお看取りする機会がありました。

余命を告げられてからも、それを受け入れ、常に笑顔を絶やさず、診察では笑いが絶えませんでした。

だんだんと身体が弱っていく彼女に対して、当初、ご主人はどう接してよいのか、どう介護してよいのか戸惑っていましたが、自宅で妻を看取るという覚悟を決めてから、訪問看護の助けを借りながら、献身的に介護を続け、最期まで介護者としての役割を立派に果たしました。

彼女が亡くなった後、安らかな表情で眠る彼女の傍らで「とにかく明るくて誰でもすぐに仲良くなれる性格だった」としんみりと語るご主人の姿に、サッチーに先立たれた時の野村監督の姿が重なりました。

きっと天国から「あなた、しっかりしないとだめよ!」と見守ってくれているに違いありません。

彼女の意思や遺伝子は、息子さんやお孫さんに受け継がれています。

ご主人には、彼女をがっかりさせないよう、これからも力強く生きていってほしいと心から願っています。 


2022年5月25日(水)

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