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 第274話 エバーグリーンな心の色
投稿:院長

脳には、複数の神経伝達物資が存在しますが、その中でもノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンは、三大神経伝達物質と呼ばれ、心の働きを司る上で特に重要な役割を果たしています。

ノルアドレナリンは、交感神経を刺激して心身を覚醒する働きがあり、何かに取り組む際、意欲を高めるために重要です。その一方で、ストレスに反応して怒り、不安、恐怖という感情を引き起こします。これらの感情を引き起こすことで、何か生命の危機があった時に、とっさに行動する準備ができ、危機管理の役割を果たしているとも言えますが、過剰すぎると、怒りっぽくなったり、極度に不安になったり感情が不安定になります。

ドーパミンは快楽を司り、報酬系の神経伝達物質と呼ばれています。例えば、金銭や名誉に関連することが満たされると、このホルモンが分泌され、人は快感を感じ、さらに次に向けて意欲を高めることができます。しかし、これが繰り返されると、少しのことではなかなか満足できなくなり、さらに快感を求めて行動が行き過ぎたり、タバコ、アルコール、覚醒剤、ギャンブルなど、その快感を求めて依存的になったりするという負の側面もあります。

セロトニンは、心の平静を保つために特に重要で、「幸せホルモン」などと呼ばれることもあります。特に、セロトニンが分泌されることで、ノルアドレナリンやドーパミンによる暴走をコントロールし、精神的な安定をもらたし、痛みを緩和することができます。

話が変わりますが、今日は、3年ぶりに仙台国際ハーフマラソンが開催され、自分が大会に出ていた時のことを懐かしく感じながらテレビ観戦しました。

最近は、マラソン大会に出ることはなくなりましたが、マラソンというのは、体力面だけでなく、精神状態に大きく影響され、脳の神経伝達物質を使ってマラソンの心理状態を表わすことができます。

例えば、大会を走る前は、やる気と緊張感を保つために、ノルアドレナリンが適度に分泌されなくてはいけません。色に例えると情熱の赤です。

しかし、いざスタートすれば、調子に乗りすぎてオーバーペースにならないよう、セロトニンを適度に分泌させる必要があり、アドレナリンをコントロールしながら心地よいペースに落ち着きます。色に例えると鮮やかなグリーン(新緑)です。

しかし、レースも終盤になり、疲労物質が徐々に溜まってきて、目標のタイムに届かないと感じたり、アクシデントが発生してまともに走れなかったりすると、セロトニンに抑えられていたアドレナリンによるストレス反応という負の側面が出てきたりします。色でいうと赤信号の赤です。

その逆に、終盤まで好調に走り続けて、目標通りにゴールできそうだとわかった時は、ドーパミンによる快楽とやる気が出てきて爽快な達成感を感じながらゴールすることになります。色に例えると透明感のあるスカイブルーです。

しかし、その達成感が病みつきになると、その快楽(スカイブルー)を求めて次第にランニング中毒になっていきます(笑)。

以上、マラソンはスタートしてから、セロトニンを適度に分泌させて、終盤までいかに心の平静を保って自分自身をコントロールして走れるかがとても大切で、これは私達の生活や人生にも同じことが言えます。

実は、自転車、歩行、ジョギング、エアロビクス、咀嚼(規則正しく噛んで食べる)などの規則的な運動(リズミカルな動作)、日光浴、呼気を意識した呼吸法などで、セロトニン神経が活性化しやすくなることがわかっており、セロトニン神経は鍛えることができる!のです。

個人的に、在宅診療にもこれを応用することができると考えており、患者さんがセロトニン神経を活性化させて、「エバーグリーンな生活」が実現できるよう、支えていきたいと思います。


2022年5月8日(日)

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