第254話 寒くても暖かい |
投稿:院長 |
在宅医療では、病状が変化しても自宅で生活したいという患者さんのために、必要があれば点滴したり、酸素吸入を行ったり、訪問看護を導入したりして、全力で患者さんの生活を支えていますが、時には連携する病院に患者さんの入院をお願いすることもあります。 例えば、予測できない病状の急速な悪化、在宅医療では対応が困難な苦痛の出現、家族の介護負担の増加などがこれに当てはまります。 このような場合、まずは患者さんを当院に紹介してくださった病院と交渉することになりますが、交渉相手がもともとの診療科や主治医と異なる場合(特に時間外や休日の場合です)、なかなか入院を引き受けてもらえないことがあります。 特に、高齢や認知症、終末期の患者さんの場合は入院のハードルが上がり、過去には、私よりも遥かに若い病院のドクターから、まるで検察の取り調べのようなきつい尋問を受けたり、激しい口調で非難を受けたりしたこともあります。また、救急車内で50分以上も当直医と交渉して、ようやく入院を受け入れてもらえたこともありました。 しかし、そんな私も過去には病院総合医として長らく働き、病院勤務医の苦労を理解しているので、交渉相手からどんなに非難を浴びても、相手の立場を思いやりつつ、けして感情的になったりせず粘り強く交渉することを心がけています。 そして、急な依頼であろうと、休日であろうと、夜間や早朝であろうと、受け入れてくださったドクターには感謝しています。 そんな日頃の心がけが実を結んだのかわかりませんが、先日、当クリニックに患者さんを紹介してくださったある病院のドクターの診療情報提供書の冒頭に以下のような文章が記載されており、驚きつつも嬉しく拝読させていただきました。 「草木の露が霜へ変わり、冬の足音が聞こえる中にも穏やかな小春日和が嬉しい今日この頃、星野先生におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。今回は、患者〇〇様の在宅診療をお引き受け頂き、心より感謝申し上げます。」 そこで、こちらの要望を快く引き受けてくださる病院の先生方や連携室の方々へ私からの感謝の返信です。 北風が肌を刺すようにとても冷たく感じられる中でも、皆様のいつも心強いお力添えが陽だまりのように私達の心をポカポカと温めてくれています。皆様のこれからの益々のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。 |
2021年11月30日(火) |
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