第251話 夫婦の形 |
投稿:院長 |
訪問診療では、数々の「夫婦の先輩」に遭遇します。 Kさん夫妻は、二人とも90歳を過ぎていますが、温厚でとても仲がよく、二人の間には穏やかで落ち着いた雰囲気が漂っています。 旦那さんは、奥さんをとても大切にする優しい方で、控えめな奥さんはそんな旦那さんの後をそっとついていくような方です。 先日、私がKさん夫妻に「お二人はとても仲が良いですね」と話したところ、旦那さんから「結婚してから一度も喧嘩したことがないんです」と驚きの返事が戻ってきました。 三浦友和・山口百恵夫妻は、結婚してから喧嘩したことがないことで有名ですが、それを超えるカップルなんですね。 二人を見ていると、互いに相手を尊重し、気づいたことがあったら相手のためにそっと行動しているのです。 夫婦の絆を保つために、そこには多くの言葉は必要ないのです。 Tさん夫妻は、二人とも85歳を過ぎていますが、ご主人に難聴があるため、いつも大きな声で言葉が交わされ、時にはこちらがハラハラするような激しい言葉の応酬になります。 しかし、旦那さんは、ベッドで過ごす奥さんのために、食事や洗濯などの家事はもちろん、妻の薬を管理したり、実はとても献身的に介護されています。 一方の奥さんは、旦那さんの耳代わりとして、電話など家庭の窓口の役割を果たしています。 二人を見ていると、互いに足りないものを補い合い、気づいたことがあったら文句も交えながらはっきりと言葉に出してから、相手のために行動しているのです。 夫婦の絆を保つために、言葉がそのエネルギーになっているのです。 普段の診療では、2週に1回ほど、夫婦で二人暮らしをしている高齢者の自宅を巡回する日があり、実はKさん宅を訪問した直後にTさん宅を訪問する順番になっています。 その雰囲気は、まるで静から動へ変調するベートーベンの交響曲を聴いているかのようですが、かけがえのない二人の間で絶妙なハーモニーが生み出されていることに全く変わりがありません。 11月22日は「いい夫婦の日」です。ある調査によると夫婦円満の秘訣は「我慢」だそうです(笑)。 あゆみホームクリニック仙台では、多くの「いい夫婦」に関わっていることが自慢です。 |
2021年11月11日(木) |
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