第250話 本来の姿 |
投稿:星野 |
体調を崩してすっかり元気をなくしていた患者さんが、在宅ケアを受けるうちに次第に体調を回復してくる様子を目の当たりにするのはとても嬉しいことです。 特に、体調が悪い間に影を潜めていた口癖が復活した時は感動してしまいます。 活気の低下と食欲不振で紹介されたAさんは、多剤内服による弊害と考えられたため、すべての薬剤を中止し、訪問看護を導入して点滴で経過をみることになりました。 点滴を開始して1週間ほど経過すると、しっかり会話ができるようになり食事も少しずつ増えてきました。 ある日の診察で自宅を訪問すると、ご家族から「昨日はお腹が空いたと言ったんです!」と嬉しい報告がありました。 もともと食べることが大好きだったというAさんですが、ついに発せられた「お腹が空いた」という言葉に、その場で腹を空かしていた誰もが共感し・・・ではなく感動に包まれたのでした。 入院治療を受けて1ヶ月ぶりに退院したBさんですが、退院直後は幼い孫が騒いでいても「子供が騒ぐのは当たり前」と理解を示しておとなしくしていたそうですが、ある日、自宅を訪問すると、ご家族から「先日、孫に向かってうるさいな!静かにしろ!って怒ったんです!」と嬉しい報告がありました。 Bさんは耳が遠かったはず(?)ですが、以前のような厳しい口調が戻ってきたという報告に、その場の誰もが緊張し・・・ではなく笑顔に包まれたのでした。 脳梗塞のため介護を受けるようになったCさんですが、初めて診察した日に息子さんから、「もともとは明るくて冗談が好きな母です」と紹介されました。 ある日の診察で、Cさんを担当する看護師さんから「この間、浣腸をしていたら、肛門、肛門、水戸黄門って冗談を言ったんです!」と嬉しい報告がありました。 肛門から黄門様が現れた(?)という報告に、その場の誰もがひれ伏して・・・ではなく爆笑に包まれたのでした。 ちなみに、茨城県水戸市には、なんと「みと肛門クリニック」が実在しています(笑)。 患者さんが本来の姿を取り戻せるように、あゆみホームクリニック仙台は患者さんにとって「助さん格さん」のような存在であり続けたいと思います。 |
2021年11月3日(水) |
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