第210話 楽しい味の話 |
投稿:星野 |
ある施設に入所されている患者さんを訪問した時のことです。
部屋に入ろうとしたところ、部屋の中から「いらっしゃいませ!」と元気な声が聞こえてきました。
実は、患者さんは若い時、仙台市内で洋食レストランのオーナーだったのです。
認知症のため物忘れがあるのですが、シェフとして自分が一番輝いていた時のことはよく覚えていて、その日の診察では、とても嬉しそうに当時の様子を語って下さいました。
目を輝かせて生き生きと語る姿を見ていると、まるでお客さんになったような気分になりました。
きっと、シェフをしていた時は、お客さんの気持ちになって調理し、お客さんに喜んでもらえるような洋食を心を込めて作っていたのでしょうね。
この患者さん、今は料理の腕を振るうことはなくなったのですが、「食事は、食事を作る人の気持ちになっていつも感謝しながら食べています」と今でも食に対する感謝の念を持ち続けています。
味にうるさい人だったら、さぞかし施設の職員も困っていたでしょう。
楽しいお話ごちそうさまでした。
昼食は、いつもコンビニで鮭弁当・のり弁当を買って食べるのですが、その日の昼食はオムライスを買ってプチ・洋食を楽しみました。 |
2021年2月4日(木) |
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