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 第209話 年齢相応
投稿:星野

医者が病気を説明する時に、年齢相応という言葉を時々使ったりします。

 

例えば、頭のMRIを行った場合、高齢になるほど、脳が萎縮してきたり、細かな脳梗塞の痕跡が見つかったりします。

 

検査値の基準値というのは、若くて健康な人を含めた標準的な数値などをもとに作られますから、歳をとってくるとこの基準値から外れることが多くなるのは仕方ありません。

 

しかし、他の同年代と比較した時、著しく基準から外れていなければ、医者は年齢相応という言葉を使って説明したりします。

 

したがって、年齢相応というのは、患者さんに安心感を与え、患者さんに納得してもらうための一つの言い回しになっていると言えるでしょう。

 

しかし、医者の言う年齢相応というのは、医者個人の経験が基準になっていることが多く、その基準というのは非常に曖昧なのも事実です。

 

また、基準値というのは、他人との比較を意識させるので、何歳になっても他人と比較するような生活や意識でいたら、人生がつまらなくなってしまうのではないかと思います。

 

そういえば、在宅医療の仕事に携わるようになってから、外来や病棟を担当している時に比べ、患者さんに向かって年齢相応という言葉を使わなくなりました。

 

それは、在宅医療とは、その人の個性や生き方を尊重し、それぞれの生活に合わせて「その人相応(その人にとってふさわしい)」の生活を支援する仕事だからと思います。

 

たとえ、記憶障害が進んだり、身体が不自由になったりしても、自分らしさを失わず生き生きと生活している方に接していると、他人と比較することが本当にちっぽけなことではないかとさえ思ってしまいます。

 

これからも、どのような在宅医療を行っていくべきか、「自分相応」の在宅医療を模索していきたいと思います。 


2021年1月27日(水)

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