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 第411話 尻活中
投稿:院長

Iさんは60代の女性です。


進行がんのため、食事が満足にできなくなり、いといろと苦痛を感じながら過ごされているはずなのですが、普段の診察では、そんな様子はみじんも感じさせないような、明るくてユーモア溢れる方です。


ある日、その理由を尋ねてみました。


私「Iさんは、いつも明るくていいですね!」

Iさん「はい、明るくやっています。息子も癌をやっているから、その時になんでこんなことになってしまったのかと落ち込んだけど、その時に比べれば楽勝です」

Iさん「息子は治療を受けて完治して今はすっかり元気で、おかげで孫にも出会うことができました!」


Iさんは、息子さんが病気になった時に、母として相当な苦悩を感じて過ごされたようですが、今回は自分のことなので、「母として苦悩するよりはよっぽどましだ」と考えているようです。


わが子が病気になった時、できれば自分が代わってあげたいと感じる方も少なくないのですが、Iさんこそ真の母親の姿なのですね。


Iさんは腸閉塞になりやすく、内服薬ではなく、主に注射薬や薬剤で症状の緩和を図っていますが、便通や排ガスはとても大切です。


私「最近、お通じはありますか?」

Iさん「はい、うんち君は、坐薬を入れてすこしやわらかいのが出ました。その時はおなら君も一緒に出て楽になりました」

私「今は、口から薬を飲めないので、お尻がフル活動ですね」

Iさん「はい、今は“尻活”中で、私のお尻君はとても働き者です」


Iさんを見ていると、自分の身体の一部も生理現象もすべてわが子のように愛着を感じているようです。


Iさんの愛らしい雰囲気にすっかり魅了させられ、「目尻君が下がりっぱなし」の私でした。


2026年4月21日(火)

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