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第410話 腕を組んで歩こう |
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投稿:院長 |
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Mさんは、心臓病を持つ90代の男性です。 もともと県外で奥さんと暮らしていましたが、数年前に仙台に住んでいる娘さんに呼び寄せられ、奥さんと一緒に移住してきました。 仙台では、娘さんの家族以外に知り合いがおらず、仙台の気候や環境に馴染むのか不安を抱えながら過ごしていましたが、そんな時、かかりつけになっていた仙台市内の総合病院から紹介されて、訪問診療が始まりました。 Mさんは、物静かでとっても真面目な人柄で、毎日の血圧測定、体重測定や飲水制限、塩分制限を欠かさず、診断や治療をしてきた主治医が驚くように病状が安定しています。 そんなMさんを支えるのが、明るくて優しい奥さんと、毎朝、両親の見守りを欠かさない娘さんの存在です。 Mさんの診療では、必ず娘さんのことが話題になるので、私の頭の中には「親孝行の娘さん」としてすっかりとインプットされていたのでした。 そして、先日、娘さんが診療の同席をすることになり、初めてお会いする機会に恵まれました。 娘さん「いつも父がお世話になっています」 私「あっ、親孝行な娘さんですね」 娘さんは、私の想像した通り、ご両親に似てとても優しそうな方でした。 そして、その場でMさんご夫妻が、娘さんの手配でコーラスグループのフォレスタの仙台コンサートに行くことを知らされました。さずが、親孝行!粋な計らいです。 コンサートに行くことが決まってから、この日のために、Mさんは週に数回のリハビリに取り組んできました。 そして、私は「ぜひ夫婦で腕を組んでコンサートに行きましょう」と提案してみました。 奥さんによると、昔からMさんは恥ずかしがり屋で、夫婦で一緒に歩く時は、寄り添うことはおろか、横並びで歩くことさえも好まず、常に前後の距離を置いて歩いていたそうです。 私の提案に奥さんはやる気満々で、早速、その場で腕を組んでもらいました。 Mさんは恥ずかしそうに微笑み、奥さんは満面の笑みです。 私「奥さんは、Mさんの真面目で優しいところに惚れたんですね」 奥さん「そうなんです!」 私「Mさん、これからは、恥ずかしがらずに堂々と腕を組んで、奥さんを喜ばせてあげてくださいね」 ということで、この日は、Mさんに「妻と腕を組んで歩くリハビリ」を処方しました。 コンサート前日の診療では、腕を組んで寄り添って歩く予行演習を行うことになっており、コンサート当日は、いよいよ今までのリハビリの成果を発揮することになります。 きっとフォレスタの美しい歌声が、Mさん夫妻にとって初めての腕組みデートを祝福してくれるに違いありません。 |
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2026年4月13日(月) |
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