|
第402話 共感療法 |
|
投稿:院長 |
|
今まで困難に直面し苦労した時、人は同じ苦労をしている人を見てどのように感じるでしょうか? 「自分と同じ苦労を味わってほしくない」と感じて献身的にサポートする人もいれば、「自分と同じ苦労を味わうのは当然だ」と感じて内心ほくそ笑むような意地の悪い人もいるでしょう。 一方で、「自分と同じ境遇の人がいるのだから自分も頑張らなければ」と思って前向きになれるのならとても健全なことです。 「類は友を呼ぶ」というように、人は自分と共通点を持つ人に親近感を覚えます。 このように、自分と共通点を持つ人に親近感を感じたりする心理作用を、心理学では「類似性の法則」といいますが、訪問診療ではこのような心理を引き出すことも大切なのです。 悩みが深い人には「私が診察している患者さんでも同じ悩みの人が大勢いるのですが、皆さん、親からもらった命を大切にしながら一生懸命に生きています」とか「私も同じような経験があるのですが、本当に辛いですよね」とか、「あのお釈迦さまも生きることは苦と感じていて、生(しょう)・老・病・死の四苦(しく)を示され、この苦痛を和らげるためにひたすら修行に励まれたのです」とか、いくつか例をお話しし、苦悩を完全に解決してあげることはできなくても、共感する気持ちを引き出すことで、少しは苦悩を和らげられるのではないかと感じています。 90代のIさんは、転倒したことをきっかけに膝の痛みに悩まされていました。しかし、定期的に鎮痛薬を飲むことは望まれず、湿布薬で経過観察していました。 ある日のIさんの診察で膝の痛みについて話題が出た時、同行していた当院のベテラン看護師が、「私も膝に湿布を貼っています!」とズボンの裾をまくり上げて自分の膝を公開しました。そこには、湿布が少し腫れた膝に隙間なく貼りめぐらされていました。 「おお〜!」と周囲から感嘆の声。 それをきっかけにその場の雰囲気が和み、この日以来、Iさんの膝の痛みは少しずつ和らいでいきました。 どんな言葉よりも抜群の説得力がある究極の共感療法として、これからは、膝の痛みに悩まされている患者さんには、この看護師を必ず同行させることにしたいと思っています。 診療同行する時には、湿布を貼り忘れないでくださいね〜! |
|
2026年1月22日(木) |
|
<< 第401話 新年の抱負 2026.1.12 |
第403話 あゆみのシンボル >> 2026.1.31 |
| はじめのページに戻る |