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 第395話 ただでは起きない
投稿:院長

スポーツを観戦して感動したり、元気をもらって生きる力になったりすることが多いです。


最近は、アメリカ大リーグのドジャースの試合が連日BSで放送されるようになり、大谷翔平選手をはじめ日本人選手の活躍が話題になることが多くなりました。


特に今年のワールドシリーズは、私が観た野球の試合の中でも1〜2位を争うようなドラマチックな展開となりました。


Sさんは、進行がんの患者さんで、食欲が落ち、ベットで横になって過ごすことが多くなってきました。


痛みなどの苦痛に対して、麻薬などの症状を緩和する薬剤が欠かせず、最近ではせん妄も出現したり、症状が不安定になってきました。


しかし、ドジャースの試合を観戦することが大好きで、試合中は苦痛を忘れたかのように夢中になってテレビを観ていました。


ある日、Sさんを訪問した時のことです。

その日はワールドシリーズ第3戦で、大谷翔平選手がホームラン2本を打って4安打の大活躍を見せていました。しかし、試合は延長戦に入り、どちらが勝つのかSさんはベットに横になったまま固唾をのんでテレビにくぎ付けになっていました。

私は、Sさんの邪魔にならないように、最近の様子は奥さんから聞き取るようにして、薬の調整をすることにしました。


診察が終わって部屋を出るとき、「今日の試合でドジャースが勝ったら、Sさんは元気100倍になるでしょうね!」と奥さんに声をかけて自宅を後にしました。


診療が終わって、後で試合結果を確認すると、延長18回裏にフリーマン選手がホームランを打ってドジャースが劇的なサヨナラ勝ちを収めたことを知りました。


18回も闘って最後に負けなくて良かった〜」


その後も、まるで高校野球の試合を観ているかのようなドラマチックな試合が続き、山本由伸選手の大活躍もあって、43敗でドジャースが見事に2年連続でワールドチャンピオンに輝きました。


ドジャースが優勝した瞬間、真っ先にSさんのことが頭を過りました。


Sさん、本当によかったですね。おめでとうございます!」


それにしても、ドジャースの試合は、勝つときは手に汗を握るような薄氷の勝利で感動的なのですが、負けるときは中継ぎ投手が大乱調で大量失点し、あっけなく負けてしまうのが特徴です。


これは、きっと「勝ち目のない戦いでは深追いせず、無駄な労力を費やして大きな精神的なダメージを被る前に潔く見切りをつけ、次の行動に移しやすい」ということなのかもしれないと、ポジティブに捉えることにしています。


こう考えると、大敗は後で感動を呼ぶためのお膳立てなのかもしれませんね。


派手に転んでも、医者の手を借りずに?絶対にただでは起きないドジャースの今後の戦いぶりに目が離せません。


2025年11月11日(火)

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