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第392話 約束 |
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投稿:院長 |
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当院の患者さんは、これまで波乱に満ちた人生を歩んできた方が少なくありません。 80代のKさんもそんな一人で、若い時はヤクザの道に手を染め、犯罪を犯して収監されたことがあるそうです。 犯罪の内容は、恐喝?暴行?詐欺それとも・・・。(聞くのが怖い) Kさんは物静かでいつも淡々と話をされる方ですが、犯罪の内容を話したがりません。 しかし、刑期が懲役1年と聞いて、固唾をのんで聞いていた私は安堵したのでした。 若かりし頃のKさんを救ったのは裁判官です。 Kさんに判決を言い渡す時、温情溢れる言葉でKさんに語りかけ、2度と同じ過ちを犯さないようにKさんを優しく諭したそうです。 きっと裁判官は、裁判に臨むKさんの姿を見て、この人物ならば絶対に更生できると信じたに違いありません。 1年の刑期を無事に終えたKさんは、晴れて出所することになりますが、その後は裁判官との約束を守り、極道の道ときっぱりと決別し、更生の道を歩み続けました。 そして現在、熟年婚で結ばれた奥さんの介護を受けながら幸せな結婚生活を送っています。 賑やかでよく喋る奥さんと物静かなKさん。 対照的なカップルですが、2人から醸し出される話題は事欠きません。 ある日、奥さんが外出する際に、Kさんに飼い猫のエサを渡して、猫がKさんの布団に潜り込んできたら食べさせるように伝えておいたそうです ところが、腹を空かしていたKさんは、なんと猫のエサを食べてしまって、奥さんに怒られてしまったのでした。 裁判官との約束を守っても、猫のエサを“ネコババ”して、奥さんとの約束を破ってしまったKさん。奥さんから下される判決はいかに? |
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2025年10月12日(日) |
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