|
第391話 幸せの・・・ |
|
投稿:院長 |
|
Sさんは80代の男性です。1年前に食欲や体力の低下があり、訪問診療を受けることになりました。 今まで投与を受けていた種々の薬剤の調整を行ったところ、少しずつ食欲が戻り、この暑い夏も元気に過ごされました。 Sさんはとても温厚でいつもニコニコと診察に応じてくれる優しい方ですが、昔は付き合いなどで夜遅くなり、家族に心配をかけたことがあったそうです。 一方の奥さんは、とても明るくてハキハキとした方です。 そんなSさんですが、昔の負い目があるのか、自宅では完全に奥さんが主導権を握り、奥さんには頭が上がらないようです。 その雰囲気がとても微笑ましく、診察ではいつも私と奥さんの間で明るい言葉が飛び交い、賑やかな雰囲気で診察が進みます。Sさんは、その言葉にニコニコと耳を澄まして聞いています。 Sさんがここまで元気を取り戻した理由として、父思いで父の健康管理には少し厳しく接している娘さんの献身的な介護や、訪問看護師やデイサービスをはじめとするスタッフの思いやりに溢れたケアが欠かせません。 ある日の診察でのやりとりです。 私「Sさんは、いつも幸せそうですね」 奥さん「そうでしょ〜先生!そうなの、こんなに幸せな人はいないわね!」 私「Sさんの身体はいろいろな人のケアが行き届いていて、皮膚のトラブルがあっても、必ず良くなりますもんね」 奥さん「そうすると、この人の身体は、いろんな人の思いやりが詰まった塊(かたまり)なのね!」 私「Sさんを見ていると、男性は歳を取ったら威張り散らすのではなく、奥さんの尻に敷かれているほうがよっぽど幸せに暮らせそうですね。なんたってSさんは、幸せの塊ですから!」 ということで、Sさんは皆の想いが詰まった希望の星・・・ではなく、「希望の塊」と認定されることになりました。 Sさん、皆の想いを背負うことはとても責任重大です!今よりももっと幸せになりましょう! |
|
2025年9月30日(火) |
|
<< 第390話 世界陸上 2025.9.20 |
第392話 約束 >> 2025.10.12 |
| はじめのページに戻る |