|
第389話 老衰の条件 |
|
投稿:院長 |
|
80代の男性Yさんは、進行がんと診断され在宅医療を受けることになりました。 しばらくは、病気を感じさせないほど元気で、毎日30分以上散歩をしたり、囲碁仲間と定期的に対局するなど、びっくりするくらいにエネルギッシュに過ごされていました。 私たちの前では、いつもニコニコしながら「今は元気でも、そのうち弱ってきてコロッと逝きますから」と全く動じることがなく、診察ではいつも和やかな雰囲気です。 しかし、病気は確実に進行し、次第に食欲が低下し、歩くことも困難になってきました。 そして今、ベット上に寝たきりのなったYさんは、体重が落ちて痩せてしまったものの、ニコニコして和やかに診察を受ける様子に変わりがありません。 ある日の診察での会話です。Yさんは、10月に誕生日を迎えることになっています。 Yさん「弟は80歳に老衰で亡くなったので、自分も老衰を希望します」 私「そんなにニコニコして冗談が言えるんだから、とても老衰には見えないですよ〜。でもYさんのために老衰ということにしておこうかな?」 Yさん「はい、それでお願いします」 私「あっ、忘れていたんですが、老衰に認定する前にやることがあります。10月の誕生日には奥さん自慢のチーズケーキを食べましょう!」(Yさんの奥さんはお菓子作りの名人なのです!) Yさん「あと1か月も持つかな〜?」 私(ベットの脇に置いてあるキャラメルコーンとユンケル黄帝液を指して)「これを食べたり飲んだりしているんだから、まだ老衰と言わないですよ」 Yさん「それは困るな〜」 私「でも、次の誕生日を迎えたら、Yさんのために老衰ということでサービスしておきますね」 Y「それじゃあ、老衰になれるように頑張ろうかな〜」 私「はい、頑張りましょう!」 ということで、Yさんは、10月の“老衰のお祝い”にチーズケーキを食べることが目標になりました。 Yさん、目標に向かって一緒に頑張りましょう! 🎵ハッピ老衰デー・トゥーユー🎵 |
|
2025年9月8日(月) |
|
<< 第388話 100歳は何色? 2025.8.23 |
第390話 世界陸上 >> 2025.9.20 |
| はじめのページに戻る |