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 第386話 アニマルセラピー
投稿:院長

90代のSさんは、息子さんと二人暮らしをしています。


日中、息子さんは仕事に出ており、一人で留守番をしていますが、全然寂しい思いをしたことがなく、部屋の中はとても賑やかなのです。


何故か?


それは、昔から猫を飼っていて、筋金入りの猫の愛好家だからなのです。


自宅のあちこちに猫が描かれたグッズが置いてあり、まるでメルヘンの世界のようで見ているだけで楽しくなるのです。

壁掛け、絨毯、ハンカチ、枕、テーブルクロス、湯飲み、マグカップはもちろん、なんと窓枠にも猫の彫刻があるのです!


そんなSさんも、最近は身体の衰えを感じるようになり、足のセルフケアが困難になってきました。


そこで、私のほうで足の爪切りを受け持つことになり、ニッパーとやすりを取り出して、Sさんの靴下を脱がせようとした時、靴下にも何匹もの猫が刺繍されていることに気か付きました。


「あっ、ここにも猫が!(笑)」


それはまるで、Sさんの足元で楽しく遊んでいた猫が私に話し掛けてくるかのようです。


吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも靴下に描かれてニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで初めて医者というものを見た。しかもあとで聞くとそれは人間中で一番口うるさい種族であったそうだ。この医者というのは我々のご主人様を捕つかまえて爪を切るという話である。しかし、最初は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の手でスーと引っ張られてご主人様の足から脱がされて何だかフワフワした感じがするではないか。おいそこの医者!何をするのだ!早くご主人様の足元に戻して遊ばせろ!


ということで、爪切りが終わった後は、この靴下をSさんの足にやさしく戻しておきました。


これぞ、Sさん流アニマルセラピー!


2025年8月2日(土)

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