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 第385話 何番目?
投稿:院長

Kさんは、一人暮らしをする高齢の女性です。


心臓に病気を抱え、しかも足腰が弱くなっているので、室内を移動するのにも一苦労ですが、看護師さんやヘルパーさんの手厚い見守りを受けながら毎日を過ごしています。

Kさんの性格を一言で言い表すととにかく頑固なことです。

友人との楽しい食事会がなかなかやめられず、それがきっかけで心不全が悪化して追加治療が必要になることもしばしばですが、なかなか自分の生活のペースを変えようとせず説得に一苦労です。


そんなKさんですが、訪問看護師さんやヘルパーさんは、Kさんを見放すどころか、Kさんが頑固になればなるほどますます献身的に関わろうとしています。なぜか?


それは、Kさんが時折見せる人懐っこさ、ユーモアに人間味を感じるからでしょう。


最近は、前回の心不全の悪化でしんどい思いをしたせいか、ようやく私たちの提案を受け入れてくれることが多くなってきました。


先日の診療でのやりとりです。

訪問診療では、薬剤師が処方になった薬を自宅に配達し、服薬の説明や服薬管理を行う訪問調剤を利用することも少なくないのですが、Kさんは、友人がボランティアで薬局までKさんの薬を受け取りに行ってくれていたのです。今まで訪問看護師からKさんに訪問調剤の提案をしていたのですが、「それはあなた達が楽をしたいからでしょう!」と拒否されていました。


私「Kさん、今までお友達が薬局にお薬を受け取りに行ってくれていましたが、今度から薬剤師さんに届けてもらいましょう。そうすれば、Kさんが薬を取り出しやすいように部屋に準備してくれるので飲み忘れも少なくなって、むくみや息切れが予防できるようになるでしょう」


Kさん「いいよ、先生がそう言うのなら仕方ないね」


私(安心して)「Kさん、どうもありがとう!Kさんは私が診察している患者さんの中で一番頑固だったんだけど、今度から3番目にしておきますね」


Kさん(笑いながら)「あら〜、それはどうも」


というわけで、その日はとても素直に提案を受け入れてくれたのでした。

その数日後、訪問看護より連絡が入りました。


最近、圧力釜を購入し、部屋のいたるところに炊飯したご飯が置いてあり、食欲が復活してきたとのこと。


Kさん、3番目でなく、やっぱり2番目に格上げしようかな?


2025年7月21日(月)

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