第382話 真相 |
投稿:院長 |
70代のTさんは、20年来の病気の治療のため入院していましたが、〇月に退院となってから訪問診療を受けています。 退院当初は倦怠感や食欲不振を感じていましたが、大好きな自宅で生活しているうちに徐々に改善してきました。 Tさんの趣味はガーデニング。それもプロ級の腕前です。 仙台に転居する前は、ご主人とともに作り上げた花の楽園のような見事な風景が地元の話題になったほどでした。 Tさんの現在の自宅には、ピンク色のバラが咲いています。数十年前に栽培を始めたというバラは、今は幾重の大輪の花を咲かせるようになり、見る者の心を和ませてくれます。 ある日の診察で、そのバラの話題になり、バラの一部を切り花として私たちに分けてくださることになりました。 Tさんのご主人がハサミを入れて新聞紙に包んでバラの花束を作ったところで、せっかくなので写真撮影をしようということになりました。 こうして、診療アシスタントがカメラマンとなって、ご主人とバラの花束を持ったTさんが二人寄り添ってにこやかな表情を浮かべているとても素敵な写真が出来上がりました(これを読んでくださっている全員に見てもらいたい・・・)。 そして、その写真を見た私は、「まるでご主人がプロポーズをしているようですね!」と声をかけたところ、Tさんが「実はまだプロポーズの言葉をもらっていないのです・・・」と衝撃の告白があり、その場が爆笑の渦に包まれました。 こうして、私の余計な一言が「言わぬが花」となってしまったのですが、実はバラには色と本数でそれぞれ花言葉が決められており、3本のピンクのバラは、「感謝、愛しています」という意味が込められているのだそうです。 ご主人は、言葉には表さなかったのですが、後になって、実はこのバラでTさんへの気持ちを表していたのではないか!?ということになりました。 だとしたら、このバラ、本当にもらってよかったのでしょうか!? ということで、次回の診察でこの真相を確かめたいと思っています。 |
2025年6月28日(土) |
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