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 第380話 悠々自適
投稿:院長

診療所には複数の医師が在籍しているので、患者さんの中には、他の医師が継続的に診察している場合、私自身がしばらくお会いしていない方がいます。


先日、昨年以来、久しぶりに診療した70代のNさんもその一人でした。


部屋に入ってNさんを一目見たとき、私が記憶していたNさんとは別人になっていることに驚きました。


昨年は、だるくて食欲がなく、自宅に閉じこもってばかりで元気がなかったのですが、その日のNさんは、どことなく余裕があり、柔和で、ゆったりとした表情に変わっているではありませんか!


よく話を聞けば、いろいろと身体の衰えを自覚しながらも、それにとらわれ過ぎず、深刻に考え過ぎず、慌てず騒がず、平常心を保ち、心が整っているのです。


今は、天気が良ければ近所の公園までゆっくりと散歩をしたり、奥さんの運転でドライブしたり、買いものをしたり、雨が降れば自宅でゆったりと外の景色を楽しんだり、奥さんの手料理やスイーツを楽しんだり、好きなテレビ番組を観たり、のんびりとした生活を送っています。


私はそんなNさんに、「心に余裕を持ち、世の中の面倒なことから離れて静かにゆったりと過ごす。まさに悠々自適(ゆうゆうじてき)という言葉がぴったりですね!」と声を掛けました。


この言葉に、ソファーで足を組んでゆったりと座っていたNさんは、高倉健のような優しい笑みを浮かべて“微笑み返し”をして下さいました(ちなみに、足を組んで座っている高齢者は心に余裕がある人という私なりの法則があります)。


昨年は、自宅で横になってばかりいたNさんですが、今の生活は、明るくいつもにこにこと接してくれる年下の奥さんの支えなしではありえなかったでしょう。そして、この悠々自適な生活は、そんな家庭を築いたNさんへのご褒美だったのですね。


昔は、釣りによく出かけていたそうですが、釣り上げた一番の大物は奥さんだったのでしょうね。


この日を境に、私も歳をとったら、Nさんのような悠々自適が目標になりました!


2025年5月31日(土)

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