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 第379話 悔しい〜!
投稿:院長

ある患者さんを診察した時のことです。


この患者さんは、お尻の褥瘡(じょくそう=床ずれのことです)がここ数年来慢性化してなかなか改善できずにいました。


その日の診察では、別組織に所属する皮膚・排泄ケア専門の看護師が診療に同席して一緒に処置していました。そこで、褥瘡がなかなか改善しないことに対してこの看護師から発せられた言葉がとても印象に残りました。それは「悔しい〜!」です。


もちろん、褥瘡には様々な発生要因があり、あっという間に悪化するのに、完治するまでその何十倍、何百倍もの労力と時間を要するので、この看護師さん一人だけの責任ではありません。


私自身、思惑通りに症状が改善しない患者さんを目の前にして「悔しい」という感情を意識したことがなく、この言葉に自分にはない何か新鮮なものを感じることができました。


心理学では、悔しさを、「自己能力に対する不満」、「潜在能力への期待」、そして「未達成目標に対する情熱」と捉えることができるそうです。


最近では、悔しいという気持ちを、他人を恨んだり、いやがらせしたり、復讐することで晴らそうとする風潮が見受けられるように思いますが、本来はこの悔しさを自分に向けて、次の行動を起こすためのエネルギーやモチベーションにするものではないかと思いますし、そちらのほうがはるかに健全です。


世界各国で起こる紛争なども、悔しいという気持ちが他人に向かった結果なのかもしれません。


一方、私がこの看護師の悔しいという言葉に新鮮さを感じたのは、この看護師のプロフェッショナルな精神や治療への情熱を感じたからに他なりません。

 

そういえば、私が日常生活の中で私が悔しいと思ったのは、過去には、練習を積み重ねたのに目標としていたマラソン大会で思うような結果が出せなかった時や、現在では、今私が凝っているプラモデルの制作がなかなか上手くいかない時ですね。


悔しいと感じたら、自分には情熱がまだ失われていないとポジティブに考えて、そこであきらめずに努力を続けていけば、その先に何かハッピーなことが待っているのかもしれません。悔しいと思う感情を上手に利用することで、人や専門職として成長するチャンスが生まれるのです。


私自身は、この先も医者として成長したいと考えているので、当面は、「診療の場面で悔しいという感情を持つという概念が自分には欠けていたことが悔しい〜!」と思うことにしたいと思います。


2025年5月20日(火)

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