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 第362話 ピアノの達人
投稿:院長

Tさんは、90歳代の女性です。

年齢や病気を重ねて次第に身体が不自由になる中で、Tさんの生きがいの一つがピアノを弾くことです。

Tさんのご両親とも音楽の先生という音楽一家で育ったTさんは、子供の頃からピアノに慣れ親しんでいたそうです。

ある日、診療チームがTさんのご自宅に訪問した時、Tさんは、私のリクエストに応えてピアノを演奏して下さいました。

昔に比べると思うように指を動かせなくなっていますが、それでも鍵盤に魂を込めているかのように、指を精一杯動かし一つ一つの音色を奏でていく様子はとても感動的です。

それでいて、Tさんの温もりが私たちを包み込み、幸せな時が部屋の中を流れているかのようでした。

そして、演奏の最後にお辞儀をする時の懐かしい「ジャーン、ジャーン、ジャーン」の音でその日の音楽会は終了となりました。

翌年の春、診療所にお菓子の詰め合わせが届きました。

いくつもの袋の中には、一人分の3種類のお菓子が丁寧に収められており、袋には「ありがとう」の文字が添えられていました。

それは、節目の誕生日を迎えたTさんが、周りの方々に感謝の気持ちを込めて贈ったものでした。

そして、大きなケーキを前に、ご家族の皆さんと一緒に微笑みを浮かべるTさんが写真に収められていました。

これからもTさんの人生が、平和、感謝、幸福の優しい音色で奏でられますように。

♪♪もしもピアノが弾けたなら、思いのすべてを歌にして、きみに伝えることだろう♪♪


2024年11月30日(土)

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