第360話 整理整頓の達人 |
投稿:院長 |
Hさんは85歳の男性です。 神経疾患の進行のため、歩行が不自由で通院が困難となり、訪問診療を受けることになりました。 Hさんは、ヘルパーや近くに住む娘さんの見守りを受けながら、なんと今でも独居生活を送っています。 Hさんの自宅に訪問するとまず気付くことは、室内が整理整頓されとても清潔なことです! 独居暮らしの男性の場合、室内に物が溢れて混乱していることが多いのですが(私の独身時代?)、Hさんは、体が不自由になった今でも他の人の支援を受けながら掃除を欠かしません。それは床だけでなく、机の上、ベッドの周辺、台所、玄関、衣類ラックに至るまで、ありとあらゆる場所に及んでいます。 Hさんは、もともと寿司職人で、今でも台所で包丁を器用に扱って調理したり、食器洗いを欠かしません。Hさんに手のひらを見せてもらうと、意識が指の先にまで行き届いているためか、まるで若い女性のようなきれいな肌をしています。 寿司職人として、常にお客さんに安全な料理を提供し続けてきた気持ちが手にも表れているのです。人におもてなしをするプロフェッショナルとしての心を持ち続けているのですね。 Hさんは、寿司職人を引退されていますが、今も自分の心を丁寧に握り続け、心の形を整えています。 Hさんが、手に汗を握ることのない穏やかな生活がどこまでも続くように支えていきたいと思います。 |
2024年11月11日(月) |
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