第349話 外出の目的とは? |
投稿:院長 |
在宅医療を受ける患者さんの中でも、病院での専門治療が必要で数か月おきに通院している方がいます。 その場合、患者さんの日常の健康問題を当院で担当するなど、病院と役割分担をして診療することになります。 在宅医療を受ける患者さんのほとんどは自宅で過ごす時間が長くなり、病院を受診する時は、患者さんにとって外出することができるまさに貴重な時間です。 93歳の女性Tさんを診察した時のことです。 Tさんは、半年に1回病院に通院していますが、食べることが大好きで、病院を受診した時のことよりも、途中で立ち寄った村上屋(知る人ぞ知る仙台の名店)のずんだ餅の素晴らしい味について目を輝かせながら話してくださいました。 Tさんは歩行が困難なので、付き添ってくれた介護職員がずんだ餅を買ってきてくれる間、車中で首を長くして待っていたそうです。 Tさんは、村上屋に立ち寄ることを事前に計画していたのです! 食べ物の話題は人を明るくしますが、訪問診療でも例外ではなく、Tさんからずんだ餅の話が出た途端、その場の雰囲気が一気に盛り上がったのは言うまでもありません。 私「Tさんは、通院するついでに村上屋に立ち寄ったのではなくて、村上屋に行くついでに通院したんですね」 Tさん「そうかしらね、ふっふっふっ」 このTさんの診察以来、通院している患者さんには、貴重な外出を有意義に過ごしてもらいために、楽しみのついでに通院してみるように患者さんに提案しています。 そんな私ですが、患者さんから楽しい話を聞くついでに診療・・・とならないように注意が必要ですね。 |
2024年7月11日(木) |
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