第366話 生きがい |
投稿:院長 |
最近の診察では、何人かの患者さんの生きがいについて聞くことができ、患者さんと楽しい時間を共有しています。 87歳の女性Yさんは、「手術も頑張ったし、早く迎えに来てほしい」と口走ることが増えてきたようですが、当院の職員が初めてYさんの面談に伺ったとき、「2026年にサクラダファミリアがついに完成するので見に行きたい(着工から100年以上の時を経てもいまだに完成していなかったスペインの世界遺産のことです)」「あなた達も人生を楽しまなくてはいけないよ」と教えてくれたそうです。ちなみにYさんが密かに計画しているスペイン旅行は、ご家族にいつ打ち明けるのか思案中です。 81歳の男性Nさんは、自身が病気になってから遠方にいる子供たちがまめに帰省してNさんを励まして親孝行してくれるので、「自分の子供への教育は失敗したかと思っていたんですが、どうやらうまくいったようです」と嬉しそうに話してくれました。一緒に帰省したお孫さん(まだ社会人になったばかり)から、自分が結婚するまで長生きするように言われたそうですが、よく聞きと、まだお孫さんには彼女さえいないようです。お孫さんは自分の結婚を先延ばしにしてNさんを長生きさせる計画(?)なのかもしれません。Nさん、この際、ひ孫が誕生するまでとことん長生きするのはどうでしょうか! 95歳の女性Aさんは、一時の食欲不振から見事に立ち直り再び元気を取り戻しています。周囲には「もっとやりたいことがあるから死にたくない」と話しているそうですが、特にやりたいことは美味しいものを食べることで、「食べることが商売」がAさんの口癖です。先日の診察では、「先生の顔が食べ物に見えてきます!」とAさんの意表を突くような言葉に、「アンパンマンのように自分の顔をお裾分けしてあげたいのですが、私は(アンパンマンの顔を再生するジャムおじさんがいないので)自分の顔を作り直すことができないので・・・」とタジタジになってしまいました。Aさん、「星野の顔を食べるまでは長生きしたい」「星野の生き血を飲むまでは長生きしたい」はどうぞご勘弁ください。 |
2024年6月11日(火) |
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