第345話 にらめっこ |
投稿:院長 |
訪問診療では、患者さんが前向きな姿勢でいられるように笑ってもらえるように配慮しています。 性別で言うと、よくしゃべる女性の方が診療中に笑ってくれることが多く、男性は寡黙で感情を表に出さず、無表情な方が少なくありません。 これは、笑うと威厳が損なわれるという武士や家長としての美学や、年功序列や戦後の急速な経済発展の中で黙々と働くことが称賛された日本特有の社会背景が関係しているのかもしれません。 診療所では電子カルテの患者さんごとの画面に顔写真を掲載しているのですが、できるだけ笑顔で写真に収まってもらえるように工夫しています。 ある日、写真館のように、笑いを促すような声掛けをしてもなかなか表情を崩さなかった患者さんが、自分の写った顔写真を見ると初めて笑顔を見せたということがありました。 そこで、タブレットを2つ用意し、まず最初のタブレットで写真撮影した後、自分の顔写真が写ったその画面(おとりの写真)を見せて表情が緩んだところを別なタブレットで撮影することにしました。 個人的な調査では、この方法を使うと、約8割の人が笑顔を見せることがわかりました。 これは、訪問診療を受けている患者さんは、昔のように鏡を見たり、写真撮影する機会がめったになく、久しぶりに‘あまりに変化してしまった自分の顔’を見て思わず笑ってしまうのでしょう。 やまと在宅診療所あゆみ仙台では、にらめっこで写真の向こうの自分に負ける患者さんをどんどんと増やしていきたいと考えています! ということで、当院の訪問診療を受ける方は、できるだけ鏡や最近の自分の顔写真を見ないようにしてお待ちください。 |
2024年5月27日(月) |
<< 第344話 進化?それとも衰え? 2024.5.16 |
第366話 生きがい >> 2024.6.11 |
はじめのページに戻る |