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 第337話 幸せの赤いマフラー
投稿:院長

Nさんは、奥さんと二人暮らしです。

若い頃から、酒とたばこがやめられず、奥さんに心配をかけてきたようです。

Nさんのカルテの既往歴には「狭心症、アルコール性肝炎」と記載されていました。

ところが、ある大病を患ってから心機一転、禁煙と禁酒に励み、見事に成功しました。

ある日、Nさんのご自宅に診察にうかがった時のことです。

ある症状のため、自宅で超音波検査を行うことになりました。

Nさんのような場合、心臓の動きや肝臓に異常が出る場合が少なくないのですが、リアルタイムで映し出されるNさんの身体内部の画像は、思いのほか、異常がありませんでした。

私「昔は酒とたばこで身体にだいぶ負担をかけたようですね。でも、その割には超音波では異常がありませんでした。よかったですね!」

こんな声掛けをすると、それを否定したり、何も答えなくなってしまう患者さんが多いのですが、Nさんは素直に「はい、昔はだいぶ飲みました!」

私「Nさんは、とても正直ですね。それに、歳をとってから酒とたばこの両方を一度にやめられる人はなかなかいません。私は、頑張った人と正直な人を応援したくなるんです」

奥さん「病気をしてから酒もたばこもやめられたんです。病気をしても悪いことばかりじゃないんですね」

Nさん「ずっと女房には感謝しています」

奥さん「この人は、いつもありがとうと声をかけてくれるんです」

夫婦同士ののろけ話になり、真冬なのに、その場はとても温かい雰囲気に包まれました。

Nさんは、とても穏やかで素直な方で、奥さんがNさんを献身的に支え続けてきた理由がとてもよくわかりました。

帰りがけ、部屋の壁に、10年以上前にアントニオ猪木さんとNさんが、猪木さんのトレードマークの赤いマフラーを首に巻いて、一緒に写っている写真が目に入りました。

私「おっ、アントニオ猪木ですね。この赤いマフラーはまだご自宅に残っていますか?」

奥さん「はい、残っています!」

ということで、次の診療では、赤いマフラーを首に巻いた幸せいっぱいのNさん夫妻が待ってくれることになりました。

「1・2・3・ダァー!」 


2024年2月29日(木)

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