第229話 老年的超越 |
投稿:院長 |
新潟に住む高齢の母と、週に1回以上は電話で話をする機会がありますが、昔に比べて変わったことがあります。
それは、母から感謝の言葉を聞くことが多くなったということです。
母は、父が亡くなってから実家で一人暮らしをしていますが、近所、親戚、友人、老人会など数多くの人との交流があり、ちっとも寂しそうでありません。
電話では、いつどのような人と会って、どこで何をしてもらったのか事細かく話をしてくれますが、必ず周囲への感謝や私への感謝の言葉で締めくくられます。
年令を重ねると、徐々に衰えゆく自分の身体と向き合わなくてはなりませんが、老いをありのまま受け入れ、自然体で生活している人ほど幸せそうです。
高齢者が、自己中心的で合理的な考え方から解放され、自然とのつながりを感じ、老いを受け入れるように価値観が変化していくことを「老年的超越」と呼び、高齢者の幸福感につながることが指摘されています。
「一人でいることもポジティブに考えられる」、「人のありがたさを実感し感謝している」、「自分の人生は意義があったと考えている」、「見栄を張らない」「無理をしない」などの傾向がある人ほど、この幸福感を保てるそうで、今の母にすべて当てはまるのです。
健康や美容などでアンチ・エイジング(=抗加齢、アンチとはantipathy反感・嫌悪の頭文字)が流行っていますが、歳をとったら、ありのままの自分を受け入れるシンパ・エイジング(シンパとはsympathy共感・同調の頭文字)の方が幸せな気分で過ごせるということです。
よく考えてみると、高齢者医療の究極の目標もそこにあると言って良いのかもしれません。
50歳を過ぎて、小じわ、シミ、薄毛、白髪が目立つようになりがっかりしていましたが、まずは自分自身で「ありのままの自分」を受け入れてみようかな・・・(笑)。 |
2021年6月21日(月) |
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