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 第330 家族を見守る靴
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Sさんは90代の女性です。10月に肺炎のため入院治療を受けましたが、食欲が増えない状態が続きました。そんな中、最期は自宅で迎えさせたいというご家族の強い希望で在宅医療を受けることになりました。

今月、Sさんは最愛のご家族の待つ自宅へ退院し、私達は初めてSさん宅へ訪問しました。

Sさんは、口数が少ないのですが、長年住み慣れた自宅に戻ることができ、安心した様子です。

「退院おめでとうございます。自宅に戻ってくることができて良かったですね」と声を掛けると、Sさんはにっこりと頷かれました。

Sさんは娘さんと同居されていますが、近所に住むひ孫さん達が、小学校から下校後にいつも立ち寄り、夕方はとても賑やかになります。

リビングの机には、Sさんがひ孫さんと一緒に写った広報誌の写真が飾られていました。

ひ孫さんを優しく見つめるSさんの表情がなんとも慈愛に満ちていることか!

そして、玄関の下駄箱には、ご家族の靴が所狭しと並べられていました。

今はすっかり見なくなった懐かしい大家族の風景。

それを見た私は、とてもほのぼのとした気持ちになりました。

ひ孫さんの靴は中段に置かれていますが、成長が進むにつれて上段に移動してくるのでしょう。

そして、Sさんの小さな靴は、Sさんを待っているかのように一番下にありました。

この靴で一歩ずつ人生を歩んできたSさん、家族を支えてきたSさんの姿を想像することができました。

そして、Sさんが再びこの靴を履いて、もっともっと人生の歩みを続けてほしい、そう願わずにいられませんでした。

Sさんの靴は、下駄箱の一番下からご家族を優しく見守り続けていくに違いありません。 


2023年12月21日(木)

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