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 第324話 嫌われる勇気
投稿:院長

人の信用性が測る物差しは色々あります。例を挙げると、

正直で倫理観があり、ルールを守っているか?

責任感があり、任せて安心できるか?

相談しやすいか?

成果を上げているか?

知識があり、それを行動に生かしているか?

・・・などです。

個人的に、この中でいちばん大切だと思っているのは、「正直で倫理観があり、ルールを守っているか?」ということです。他が素晴らしく順調だったとしても、倫理観や誠実さのない行動は、結局のところ信用を失い長続きしないでしょう。

「集団心理」という言葉があります。これは、人が集まった時に起こる特殊な心理状態のことを指します。

特に日本人の場合、「空気を読む」という言葉があるように、周囲の雰囲気や評価を気にするあまり、異質だと思われないように自分の行動を周囲に合わせてしまうことが多いように思います。

集団心理も、社会的に望ましい善意の行動や、一つの目的に向かって人が結束する時には、大きな力を発揮しプラスに働きます。

しかし、同調意識が強く働き、責任の所在があいまいになると、その行動の影に倫理観が失われたとしても、それに異論を唱えることができなくなったり、それが当たり前になったりすると、集団が誤った方向に進んでも修正がきかなくなってしまうというマイナスな側面もあります。

極端な例を挙げると、ヒトラーに率いられたナチス・ドイツや、旧日本軍が中心となって設置された大本営です。彼らは巧みな情報操作によって国民を熱狂させ、多くの国民の後押しを受けながら、甚大な犠牲者を出したホロコーストや戦争の道に突き進んでしまったのです。

集団心理によって、ごく普通の人であっても、個人では絶対に起こしそうにもない理不尽で不合理な行動に駆り立ててしまう危うさがあります。

個人的に振り返ってみると、私がもっと若い頃、行政から委託され、ある業務を引き受けたことがありました。ところが、始めてみると、長年この仕事に関わる“先輩”を中心に、定められたルールから逸脱するような決定が横行しているのを目の当たりにしました。私はこれについて疑問を持ち、正しい決定プロセスに戻すようにこの集団に意見したのです。

このとき、責任者の方は、私の意見に耳を傾けてくれたものの、結局は根本的な解決には程遠い状態でした。そして私は、自分の職責を果たすことができないと感じ、この組織から距離を置くことにしました。

熱狂や無条件の称賛は、時に人を誤らせます。

美化された言葉は、時に人を欺きます。

無批判なまま築かれた歴史は、時に人に害を与えます。

目先の利益は、時に信用を失います。

成熟した社会というのは、一人ひとりがしっかりと意見を持ち、ルールを守り、正しくないことは正しくないと伝えられる社会だと思います。

ということで、今の私の課題は、「人から嫌われる勇気を持つ」ということです。

所詮、すべての人に好かれるようなことは到底不可能なのです。

誠実に取り組み、その勇気を持った瞬間に、人から好かれようとするあまり無駄なエネルギーを費やす必要がなくなるかもしれません。ありのままの自分でいられるかもしれません。本当に自分を応援してくれる人と出会い、大切な時間を共に過ごすことができるかもしれません。

彼氏(彼女)に嫌われて?振られてしまうのではないかと不安に思っているあなた。上司や同僚に嫌われて冷たい仕打ちを受けるのではないかと不安に思っているあなた。それは、もっと素敵なパートナーに出会うチャンスなのかもしれません。


2023年10月7日(土)

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